ラインズ・ブラザーズ

ラインズ・ブラザーズ：イギリスを代表する玩具メーカーの興亡

1850年、ロンドンのキングスクロス近郊でラインズ家が始めた玩具製造は、後に世界的な総合玩具メーカーへと成長するラインズ・ブラザーズ社の礎となりました。木馬やベビー用品から出発した同社は、1876年に兄弟2人が設立したG＆Jラインズ社として法人化。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ロンドン近郊に大規模な工場を建設し、イギリス最大の玩具メーカーの1つに数えられるまでに発展しました。

トライアングブランドの誕生と成功

1919年、兄弟間の経営方針の違いから、ジョセフ・ラインズの息子たちを中心にラインズ・ブラザーズ社が設立されます。1924年、三角形をモチーフにしたトレードマークと共に「トライアング」ブランドが誕生。このブランドは、ドールハウスや木馬などの伝統的な玩具から、自転車、鉄道模型、プラモデル、ミニカー、スロットカーなど、非常に幅広い製品群を展開し、大きな成功を収めました。特に、ミニックブランドの自動車模型や、トライアング・レールウェイズの鉄道模型は高い人気を誇りました。第二次世界大戦中は軍需生産に転換し、短機関銃なども製造していました。

多様な製品群と企業買収

トライアングブランドの下では、多様な製品群が展開されました。子供向け玩具だけでなく、ミシンなどの裁縫用具や家具なども製造していました。また、1930年代にはミニカーブランド「ミニック」や「スポットオン」を展開。1950年代にはフリクションドライブの自動車模型、1960年代にはスロットカー「ミニック・モーターウェイ」が登場するなど、時代を反映した製品開発も積極的に行っていました。さらに、ラインズ・ブラザーズ社は、他社を買収することで事業を拡大。1964年にはメカノ社を買収し、その鉄道模型ブランドであるホーンビィを統合して「トライアング・ホーンビィ」としました。

倒産とその後

1970年代に入ると、ラインズ・ブラザーズ社は財政難に陥り、多くの傘下企業を手放すことになります。1971年にはついに倒産し、トライアングブランドも消滅しました。しかし、トライアング製品の一部は現在でもコレクターアイテムとして高い人気を誇り、その歴史と品質の高さが証明されています。 トライアングブランドは、イギリス玩具史において重要な地位を占め、その製品は多くの人の記憶に刻まれています。

ラインズ・ブラザーズ社の歴史年表

1850年: ロンドン近郊でラインズ家が玩具製造を開始。
1876年: G＆Jラインズ社設立。
1919年: ラインズ・ブラザーズ社設立。
1924年: トライアングブランド誕生。
1935年: ミニックブランドの自動車模型発売。
1951年: トライアング・レールウェイズとして鉄道模型市場に参入。
1964年: メカノ社買収。
1971年: 倒産。

ライネス・ブラザーズ社の製品群

ラインズ・ブラザーズ社は、多岐にわたる製品を製造していました。主な製品には以下のようなものがあります。

鉄道模型: OOゲージとTTゲージ、Oゲージサイズの鉄道玩具など。
自動車模型: ブリキ製の手押し式から、フリクションドライブ式、ダイカスト製まで様々な種類を製造。
スロットカー: 1/32スケールと1/64スケールのスロットカーを発売。
ミニカー: 1/42スケールのダイカスト製ミニカー「スポットオン」などを展開。
建築模型: ブロック式のプラスチック製建物キット「アーキテックス」。
その他: ジグソーパズル、積木、自転車、ミシンなど、幅広い子供向け商品。

ラインズ・ブラザーズ社は、その歴史と製品群を通して、イギリスの玩具産業に大きな影響を与えた企業と言えるでしょう。

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