ボプタツワナ

ボプタツワナ共和国：消滅したバントゥースタンの光と影

ボプタツワナ（Bophuthatswana）は、かつて南アフリカ共和国の北西部に存在したバントゥースタン（ホームランド）です。ツワナ人を主な住民とする自治区として設立されました。

概要

首都はムマバソ（現在のマフェキング郊外）に置かれました。特筆すべきは、その地理的な特徴です。国土はケープ州、トランスヴァール州、オレンジ自由州の3州にまたがる飛び地で構成されていました。これは、アパルトヘイト政策による民族隔離の歪な構造を象徴しています。

しかし、ボプタツワナは他のバントゥースタンとは異なる側面も持っていました。プラチナなどの豊富な鉱物資源に恵まれ、また、娯楽施設サンシティが建設されたことで、ギャンブルやストリップを楽しむ白人観光客が集まるレジャーランドとしての顔も持ち合わせていました。これにより、バントゥースタンの中では比較的経済基盤が安定していましたが、税収は南アフリカ共和国政府からの補助金減額によって相殺され、住民への利益還元は限定的でした。

歴史

独立と苦難

1972年に自治権を獲得し、1977年12月6日に独立を宣言しました。初代大統領にはルーカス・マンゴーペが就任しました。しかし、この独立は南アフリカ共和国によるものであり、国際的な承認を得ることはできませんでした。独立によって、ボプタツワナの住民は南アフリカ共和国の国籍を剥奪され、国際社会から孤立することとなりました。

クーデターと混乱

1988年には政権内部の警護部隊によるクーデターが発生しましたが、ボプタツワナ国防軍と南アフリカ国防軍によって鎮圧され、マンゴーペ大統領は権力を維持しました。1990年にも同様のクーデター未遂事件が起きています。これらの事件は、政権の不安定さと社会の不満の高まりを示していました。

アパルトヘイト終焉と再統合

1994年、南アフリカ共和国政府がバントゥースタンの廃止と全人種参加の総選挙実施を表明しました。マンゴーペ大統領はこれに反発し、選挙への協力を拒否したため、公務員によるゼネストが発生し、国防軍が攻撃を行うなど、国内は混乱しました。

この混乱に乗じて、白人至上主義団体アフリカーナー抵抗運動（AWB）が介入を試みましたが、ボプタツワナ国防軍によって鎮圧されました。この際、AWBのメンバーが警察官に射殺される事件が発生し、その様子が世界中に報道されました。

1994年3月13日、南アフリカ共和国政府はボプタツワナの国家承認を取り消し、マンゴーペ大統領を解任、暫定政権を発足させました。そして、同年4月27日、ボプタツワナは南アフリカ共和国に再統合され、バントゥースタンとしての歴史を終えました。

地理

ボプタツワナの面積は約40,000平方キロメートルで、7つの飛び地から構成されていました。飛び地は、かつてのケープ州、トランスヴァール州、オレンジ自由州に点在していました。

関連項目

バントゥースタン
サンシティ (南アフリカ)

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