ボルト (単位)

ボルト（Volt）

ボルト（英: volt、記号：V）は、電圧、電位差、そして起電力の単位です。直感的には、電気を押し出す力とも言え、電位差によって電流がどれほど流れるかを示す指標となります。日本の一般家庭で使われる電圧は通常100Vであり、河川の水流に例えると、上流から下流へと流れる水の高低差が大きいほど、その水流の勢い（電流）も強くなるという性質があります。

ボルトという名称は、ボルタ電池を発明した物理学者アレッサンドロ・ボルタに由来しています。1ボルトは、具体的には次のように定義されます。1アンペアの直流電流が流れる導体の二点間において消費される電力が1ワットである場合、その二点間の直流電圧は1ボルトとなります。また、交流の場合も同様の条件で定義されます。

この他にも、1クーロンの電荷を運ぶために1ジュールの仕事が必要なとき、その二点間の電圧をボルトとして表すことができます。国際単位系（SI）においては、ボルトはSI組立単位として位置付けられ、SI基本単位で表すと、V = m²·kg·s⁻³·A⁻¹となります。電圧が1ボルトのとき、1アンペアの電流が流れる際の電気抵抗は1オーム（Ω）であり、オームもボルトとアンペアから導出されます。

歴史と発展

ボルトの概念は、1800年にアレッサンドロ・ボルタによって発明されたボルタ電池から始まりました。1874年には、英国科学振興協会（BAAS）がボルタに因んで起電力の単位としてボルトを定めました。この時、電気抵抗の単位であるオームと共に採用され、1881年には国際電気会議によって正式に承認されました。現在のボルトの大きさに関しては変わっていませんが、初期の定義は異なっており、当時使われていたCGS-emu単位系に基づいていました。この単位系の電圧は「アブボルト（abvolt）」と名付けられ、ボルトはそれを108倍した値で定義されていました。このため、初めのボルトは実験室で容易に再現できる量を示すための実用単位として使われていたのです。

さらに1893年、ボルトは「クラーク電池の起電力の1.434分の1」として定義されましたが、この定義は1908年に破棄されました。1990年に現在のボルトの定義が採用され、ジョセフソン効果を利用した方法で新たに確立されました。この方法では、ジョセフソン接合に周波数 f の電波を照射し、その際の電流と電圧の特性を測定することで、非常に高精度の電圧が観測されます。この際の定電圧ステップは、整数 n において観測され、このn=18における値がボルトの定義に使われています。

組立単位と符号の位置

ボルト毎メートルは、電界の強さを示す単位としても使用されています。Unicodeには、ボルトおよびその関連する単位が含まれており、これらはCJK互換用の文字ですが、特に使用は推奨されていません。

関連項目

• - オームの法則
• - 電子ボルト
• - アンペア
• - 電圧の比較

ボルトは電気の基本的な単位の一つとして、日常生活や様々な科学技術に広く利用されており、その重要性は非常に高いものとなっています。

もう一度検索