ボロフスク

ボロフスク

ボロフスクは、ロシア連邦西部のカルーガ州にある歴史的な町です。州都カルーガから北へ約100キロメートル、首都モスクワからも南西へ約100キロメートルと、地理的にはモスクワ州との境界にほど近い場所に位置しています。町のそばを、オカ川の支流であるプロトヴァ川が流れています。2021年の統計によると、人口は1万2598人です。

歴史

この街の起源は非常に古く、2003年の発掘調査によって13世紀には既に集落が存在していたことが明らかになっています。文献上に初めてボロフスクの名前が登場するのは1358年、モスクワ大公イヴァン2世の発布した勅令において「ボロヴェスク」として記録されています。当時のこの地域は、チェルニーゴフ公国、続いてリャザン公国の支配下にありました。「ボロフスク」という地名は、ロシア語で「森」特に「マツ林」を意味する「Бор」に由来すると考えられています。

14世紀後半、ボロフスクはセルプホフ公ウラジーミルの所領となります。しかし、彼の孫娘マリヤ・ヤロスラヴナ（ボロフスクのマリヤと呼ばれる）がモスクワ大公ヴァシーリー2世と結婚したことにより、1382年にモスクワ大公国へ譲渡されました。

この街の歴史において重要な役割を果たしたのが、現在はパフヌティエフ修道院として知られる修道院です。この修道院は1444年頃、ボロフスクの近くに創建されました。創建者である聖パフヌーティーは後に列聖されています。15世紀末には、高名なイコン画家ディオニシオスによる初期のフレスコ画が修道院内に描かれ、現在もその一部が残されています。パフヌティエフ修道院は、強固な城壁と塔に囲まれ、単なる宗教施設としてだけでなく、要塞（クレムリ）としての機能も担いました。ボリス・ゴドゥノフの治世下での動乱や、その後の大動乱時代における戦乱にも耐え抜いています。

17世紀半ばには、古儀式派の初期の指導者であったアヴァクームや、貴族夫人フェオドシア・モローゾヴァがこの修道院に幽閉されました。17世紀末以降、ボロフスクはロシアにおける古儀式派の中心地の一つとして発展していきます。

近世に入り、1812年のロシア戦役ではナポレオン軍によって市街地と修道院が略奪され、焼き払われるという被害を受けました。その後も、1857年には大規模な火災に見舞われています。20世紀の第二次世界大戦（独ソ戦）においては、1941年10月15日にドイツ国防軍に占領されましたが、モスクワの戦いにおける赤軍の反攻により、翌1942年1月4日に解放されました。

文化と観光

ボロフスクには、長い歴史を示す多くの古跡が点在しています。見どころとしては、17世紀に建てられたこの地域で最も古いとされる木造聖堂や、宇宙開発の父として知られるコンスタンチン・ツィオルコフスキーが1880年から1891年まで教師として過ごした家を記念した博物館などがあります。

パフヌティエフ修道院も重要な観光資源です。20世紀に一時破壊された後、修復が行われました。1960年代以降は歴史・建築博物館として公開されていましたが、1991年からはロシア正教会の所有に戻っています。修道院の中心となる聖堂は生神女誕生大聖堂（ロジェストヴェンスキー大聖堂）で、1586年に再建されたものですが、1467年に最初に建てられた聖堂の資材が再利用されています。この他にも、修道院内には1670年築の小さなイリインスキー聖堂や、16世紀の食堂跡、そして堅牢な塔や城壁などが良好な状態で保存されています。

市街地にも見どころがあり、1704年建立の聖ボリス・グレブ聖堂や、1819年に建てられた高い鐘楼があります。また、かつて貴族夫人モローゾヴァやウルソヴァ王女が囚われ、その生涯を終えたとされる場所には、古儀式派の人々によって新たに聖堂が建立されています。

経済と交通

ボロフスクの経済は、繊維産業や木材加工業（マッチやおもちゃの製造など）が中心となっています。近年では、小規模ながらトラック製造工場も稼働しています。

交通アクセスについては、市街地には鉄道駅がありませんが、東へ約12キロ離れた隣接都市バラバノヴォにある駅が最寄りとなります。このバラバノヴォ駅は、モスクワ、ブリャンスク、キエフを結ぶ主要な鉄道路線上に位置しています。また、モスクワを大きく迂回する環状高速道路A108が、ボロフスクの北東約6キロメートルを通過しており、自動車によるアクセスも比較的良好です。

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