ボン・ヴォヤージュ

「ボン・ヴォヤージュ」あるいは「ボン・ボヤージュ」（フランス語: bon voyage）は、文字通り「よい旅を！」という意味を持つ、フランス語の挨拶です。新たな旅立ちや門出を迎える人々に対して、祝福と安全な旅を願う気持ちを込めて贈られる言葉として、世界中で知られています。このシンプルながらも温かい響きを持つフレーズは、単なる日常的な挨拶にとどまらず、様々な文化的な領域において、作品のタイトルや事物の名称としても広く用いられています。

この言葉が持つ「旅立ち」「新たな始まり」といったポジティブなイメージや、異国情緒あふれる響きは、インスピレーションの源となり、映画や音楽、さらには商業施設や出版物など、予想外の分野でその名を見かけることがあります。

映画における使用例

「ボン・ヴォヤージュ」という言葉は、旅をテーマにした作品や、登場人物の新たな一歩を描く物語のタイトルとして選ばれることがあります。

2003年には、ジャン＝ポール・ラプノーが監督し、イザベル・アジャーニやジェラール・ドパルデューらが出演したフランス映画が製作されました。
2004年には、及川拓郎監督、唐橋充主演の日本映画が公開されています。
2016年には、ニコラ・ブナム監督、ジョゼ・ガルシア主演のフランス映画『ボン・ボヤージュ〜家族旅行は大暴走〜』が製作され、そのユニークなタイトルが注目を集めました。

これらの映画は、それぞれ異なる物語を描きつつも、「ボン・ヴォヤージュ」という言葉がタイトルに冠されることで、登場人物の旅立ちや冒険、そしてそれに伴う様々な出来事を予感させます。

音楽における使用例

音楽の世界でも、「ボン・ヴォヤージュ」は様々な形で登場します。アーティスト名、アルバム名、楽曲名として、聴き手に旅情や新たなステージへの期待感を抱かせます。

ポップスユニットであるBon Voyageは、吉廣麻子と鏑木裕による音楽活動の名称としてこの言葉を採用しています。
著名な音楽家である細野晴臣のアルバムには、『泰安洋行（Bon Voyage co.）』というタイトルが付けられました。
女性アーティストの倖田來未や、OH MY GIRLのメンバーであるユアも、それぞれアルバム名に『Bon Voyage』を用いています。ユアのミニ・アルバムに収録された表題曲も同名です。
小片リサのカバー・アルバムには『bon voyage!〜 risa covers 〜』というタイトルが付けられています。
桂銀淑のシングル楽曲や、Bon-Bon Blancoのシングル曲もまた「ボン・ボヤージ」または「BON VOYAGE!」を冠しています。特にBon-Bon Blancoの楽曲は、人気アニメ『ONE PIECE』のオープニングテーマとして多くのリスナーに親しまれました。

これらの例からもわかるように、「ボン・ヴォヤージュ」はアーティストの旅立ち、音楽の旅、あるいはリスナーの人生の旅に寄り添う言葉として機能しています。

映像作品における使用例

音楽ライブやミュージックビデオなどを収録した映像作品でも、この言葉がタイトルとして選ばれることがあります。

松田聖子の映像作品には『Bon Voyage 〜The Best Lives and Clips〜』があります。
東京事変のライブ映像作品にも『Bon Voyage』というタイトルが付けられています。

これらのタイトルは、アーティストがファンと共に歩んだ旅、あるいはライブという特別な旅を表現していると言えるでしょう。

その他の分野における使用例

「ボン・ヴォヤージュ」は、上記以外にも様々な場所でその名を見ることができます。

東京ディズニーリゾート内にあるディズニーショップの一つは、「ボン・ヴォヤージュ」と名付けられ、旅の始まりや終わりに立ち寄るにふさわしい立地と雰囲気を備えています。
競走馬の名前としても用いられることがあります。2022年の北九州記念を制した競走馬は「ボンボヤージ」という名前でした。
ピクサー映画『Mr.インクレディブル』に登場する悪役の一人も「ボム・ボヤージュ」という名前で登場します。
エールフランス航空の機内誌のタイトルも「BON VOYAGE」です。

これらの例は、「ボン・ヴォヤージュ」という言葉が持つ旅や門出といったイメージが、商業施設、スポーツ、フィクション、そして実際の旅行に関連する出版物に至るまで、幅広い分野で活用されていることを示しています。

ボン・ヴォヤージュ