ボーイング747LCF ドリームリフター

ボーイング747 ドリームリフター：夢を運ぶ巨大な貨物機

ボーイング747ドリームリフター（Boeing 747 Dreamlifter）は、ボーイング747-400型機を大幅に改造した、特殊な大型貨物機です。その愛称「ドリームリフター」は、「夢を運ぶ」という意味を持ち、正式名称は「ボーイング747-400LCF」です。LCFは「Large Cargo Freighter（大型貨物機）」の略です。

概要

ドリームリフターは、ボーイング787の部品を世界各地の製造拠点から、最終組立工場のあるシアトルへ輸送するために開発されました。中古のボーイング747-400をベースに改造されたこの機体は、2006年9月9日に初飛行を遂げました。

特徴的なのは、機首より後ろの胴体部分が大きく膨らんだ形状です。これにより、通常の747-400Fの約3倍もの貨物を輸送することが可能になりました。当初、改造は台湾のエバーグリーンアビエーションテクノロジーズ社（EGAT）によって行われ、2006年に初号機が就航、その後2008年までに3機が改造されました。その後、2010年に4号機が追加され、現在も4機体制で運用されています。これらの機体は全てボーイング社が所有しています。

運航は、2010年7月までエバーグリーン航空が行っていましたが、同年8月からはアトラス航空に委託されました。この変更に合わせて、機首付近の窓に若干の変更が加えられています。

ドリームリフターは、イタリア、アメリカ、その他世界各地の工場で製造された787の主翼や胴体、エンジンといった大型部品を、分解せずにそのまま搭載し、ワシントン州エバレットの最終組立工場へと輸送します。787一機を製造するためには、ドリームリフターによる12回もの飛行が必要とされます。シアトルで使用される空港はペイン・フィールド空港です。

機体について

特殊な機体

ドリームリフターは、胴体が大幅に延長されており、その長さは72メートル近くに達します。これは、747ファミリーの中では当時最長の胴体でした（現在は747-8が76メートルと最長です）。機内空間を確保するために、胴体の幅と高さも拡大されており、貨物搭載容積は1,840立方メートルと、通常の747-400Fの約3倍です。機首、主翼、尾部は747-400と大きな変化はありませんが、胴体部分の膨らみが特徴的です。また、機体の安定性を高めるため、垂直尾翼も大型化されており、機体全体の高さは2メートルほど高くなっています。

貨物口

貨物口は機体後部にあり、尾部の左舷側にヒンジがあります。貨物口の開閉は、専用の特殊車両で尾部を支えながら、胴体を輪切り状に折り曲げるようにして行われます。貨物積み込みのためのリフトが一体化された特殊車両も使用されます。

ウィングレット

当初、ドリームリフターにもウィングレットが装着されていましたが、試験飛行中に振動（フラッター）が発生したため、急遽取り外されました。これにより、747-400ファミリーの中で、国内線仕様の747-400Dに次いでウィングレットを装備しない機体となりました。

日本におけるドリームリフター

現在、日本では中部国際空港（セントレア）にのみ、ドリームリフターが飛来しています。これは、愛知県内に787の部品を製造する工場が多く存在するためです。セントレアへの初飛来は2007年1月10日で、その2日後の1月12日にはシアトルに向けて出発しました。セントレアの「FLIGHT OF DREAMS」には、ドリームリフターのフライトシミュレーターが設置されており、一般客も操縦体験が可能です。

事故

2013年11月20日、アトラス航空が運航するドリームリフター（N780BA）が、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港からカンザス州のウィチタにあるマッコーネル空軍基地に向けて飛行中、パイロットのミスにより、マッコーネル空軍基地の9マイル手前のコロネル・ジェームス・ジャバラ空港に誤って着陸しました。この空港の滑走路長は1,900メートルで、貨物機には910メートル不足していましたが、機体は無事に着陸しました。その後、機体は翌日無事にマッコーネル空軍基地へ移動し、ボーイング787の胴体などをエバレットへと輸送しました。この事故は、国家運輸安全委員会によって調査されました。

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