ラテライト

ラテライトは、鉄やアルミニウムの水酸化物を主成分とする、特異な土壌です。湿潤な気候条件下で形成される成帯土壌の一種で、日本語では紅土とも呼ばれます。また、ラトソルやラトゾルといった名称でも知られています。その語源は、ラテン語で「煉瓦」を意味する「Later」に由来しており、その名の通り、赤褐色の色合いが特徴的です。

ラテライトの生成と分布

ラテライトは、サバナや熱帯雨林といった、温暖で湿潤な地域に広く分布しています。その生成は、地表の風化作用によって生じた膠結物質が関与しています。雨季には有機物が微生物によって分解される一方、珪酸分や塩基類が溶脱し、結果として鉄やアルミニウムなどの金属元素の水酸化物が表面に集積することで形成されます。

構成鉱物としては、主に針[[鉄鉱]]、ギブス石、ダイアスポアなどが挙げられます。これらの鉱物が集積することで、ラテライト特有の赤褐色を呈するようになります。特にインドシナ半島、インド、キューバなどのサバナ気候地域に多く見られます。

土壌としての特性

ラテライトは、その組成から分かるように、養分が乏しいやせ土であるため、農業にはあまり適していません。しかし、その一方で、インドでは煉瓦の原料として利用されています。ラテライトの固化する性質は、建材としての利用を可能にしています。

ラテライトの形成過程

ラテライトの形成は、母岩の風化による溶脱作用によって進行します。母岩の種類によって、その成分も大きく変動します。例えば、ボーキサイトは花崗岩類から、鉄は苦鉄質火成岩から、ニッケルは超苦鉄質岩から由来します。形成が進行する場所は、起伏が少なく、溶脱した塩類が流れ出しにくい地形であることが重要です。地質年代的には、新第三紀から第四紀にかけて発達しましたが、更新世中期以降の地球の寒冷化に伴い、その形成速度は遅くなりました。

ラテライトの産地と利用

ラテライトは、地球の陸地の約3分の1を覆うと言われています。最も古いラテライト化した岩石は、ブラジルやオーストラリアの先カンブリア楯状地に見られます。それよりも新しい時代の造山活動に伴う岩石としては、グアテマラ、コロンビア、中部ヨーロッパ、インド、ミャンマー、ニューカレドニア、キューバ、インドネシア、フィリピンなど、世界各地に分布しています。

歴史的な利用としては、カンボジアのアンコールワットが有名です。ここでは、山地から切り出された砂岩とラテライトが建築石材として使用されました。また、ラテライトは水の浸透性が高いため、スリランカでは地下のラテライト層を水が通るように利用されています。さらに、アイルランドでは、下水中の燐、アルミニウム、鉄分の吸着材として活用される事例もあります。

ラテライトの最も代表的な利用例はボーキサイト鉱床です。ボーキサイトは、アルミニウムの主要な原料であり、ラテライトが帯状に分布しているのが特徴です。インドや南米など、世界各地で採掘されています。

ラテライトは、その特異な組成と形成過程から、様々な分野で利用されています。土壌としての利用は限られるものの、建材や資源としての価値は高く、地球の歴史を物語る重要な存在であると言えるでしょう。

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