ボーパープル

ボーパープル：最強馬ケルソを破った逃げ馬

ボーパープル (Beau Purple、1957年 - ?) は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして種牡馬です。1960年代、アメリカ競馬史にその名を刻む数々の激闘を繰り広げ、当時の最強馬ケルソを幾度も打ち破るという偉業を達成しました。

驚異的な逃げの戦法

ボーパープルは、ジャック・ドレフュスがフロリダ州オカラに設立したホーボーファームで誕生しました。その競走馬としてのキャリアは、独特の戦法で彩られています。彼は単騎逃げを得意とし、気持ちよく先頭を走ることができれば圧勝する一方、他の馬に並びかけられるとあっけなく敗れるという、極端な走り方をしました。

若駒時代はケンタッキーダービートライアルを制し、クラシック路線での活躍が期待されましたが、故障により長期休養を余儀なくされます。4歳で復帰、そして5歳で本格的な活躍が始まります。

ケルソとの激闘

1962年、5歳になったボーパープルはサバーバンハンデキャップに出走。このレースには前年の二冠馬キャリーバックと最強馬ケルソが出走し、人気をほぼ独占していました。しかし、ボーパープルは軽ハンデを武器に逃げ切り勝ち。2着ケルソに2馬身半差をつけ、トラックレコードも更新する大金星を挙げました。

その後も、ケルソら明らかに実力では劣る相手に対し、ハンデキャップを有効活用することで古馬路線の最前線に居続けました。しかし、その戦法ゆえに、敗れるときはあっさり負けることも少なくありませんでした。モンマスハンデキャップでは、ケルソ、キャリーバックに次ぐ3着に終わっています。

続くブルックリンハンデキャップでは、再びキャリーバックを破り優勝。アケダクト競馬場のトラックレコードも更新しました。しかし、その後、ハンデキャップで斤量が重くなったレースでは、キャリーバックに大差をつけられて4着に敗れるなど、結果にムラがありました。

ウッドワードステークスでは、ハンデキャップの恩恵を受けられない定量戦でケルソに大敗を喫します。しかし、続くホーソーンゴールドカップを制し、最終目標をワシントンDCインターナショナルに定めました。その前哨戦、マンノウォーステークスでは、芝、距離ともに初めての挑戦にも関わらず、単勝オッズ21.65倍の大穴でケルソを抑え優勝。トラックレコードも更新する大波乱を起こしました。

ワシントンDCインターナショナルでは、ケルソとキャリーバックに並びかけられ、11着と惨敗しました。

1963年、ワイドナーハンデキャップでケルソとの最後の対決。スタートで出遅れる不利がありながらも、ケルソに2馬身4分の1差をつけ、見事優勝。ケルソとの対戦で3勝目を挙げました。サバーバンハンデキャップではケルソとの対戦が予定されていましたが、調教中の状態が思わしくなく、回避しました。

同年引退。ホーボーファームで種牡馬となりましたが、種牡馬としては大きな成功は収めませんでした。

ホーボーファームの伝統

ボーパープルが所属したホーボーファームは、他にも数々の番狂わせを起こした競走馬を輩出しています。セクレタリアトを破ったオニオン(Onion)、ウッドワードステークスで勝利したプルーヴアウト(Prove Out)などがその例です。

血統とその後

ボーパープルの父はボーガー。父もドレフュスが所有し、競走馬として活躍しましたが、怪我などもあって4勝しか挙げられませんでした。しかし、ドレフュスは種牡馬としての可能性を見出し、自らの牧場で種牡馬として繋養しました。ボーガーは、ボーパープル以外にも、ブルックリンハンデキャップを制したハンサムボーイ(Handsome Boy)や、デラウェアハンデキャップを連覇したブレッシングアンジェリカ(Blessing Angelica)などを残しました。

ボーパープルの生涯は、卓越した逃げの戦法と、最強馬ケルソとの壮絶な戦いで彩られた、アメリカ競馬史に輝く一頁と言えるでしょう。その活躍は、今もなお語り継がれています。

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