ボーフォート家

ボーフォート家：王家を繋ぐ血筋と、その波乱の物語

イングランド王国の歴史において、ボーフォート家は特筆すべき存在感を放つ名家です。その起源は、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントとキャサリン・スウィンフォードの間に生まれた4人の子供に遡ります。彼らは両親の結婚前に生まれたため、私生子という立場でしたが、後に従兄にあたるリチャード2世によって嫡出子と認められました。しかし、同時に王位継承権からは除外されるという複雑な運命を辿ります。その後も、異母兄であるヘンリー4世によって王位継承権を剥奪されるなど、波乱に満ちた歴史を歩みます。

にもかかわらず、ボーフォート家の血筋は、驚くべきことにイングランド王位へと繋がっていくのです。プランタジネット朝末期からランカスター朝にかけて、王家傍系の貴族として勢力を伸ばしたボーフォート家は、薔薇戦争においてはランカスター派としてヨーク家と激しく争いました。戦争の結果、ボーフォート家はヨーク家に滅ぼされたかに見えました。しかし、ここに驚くべき転換が訪れます。

マーガレット・ボーフォート、その名は歴史に刻まれることになります。彼女の息子、ヘンリー7世がヨーク家を倒してテューダー朝を開き、王位に就いたのです。この出来事は、ボーフォート家の血筋が、イングランド王家の歴史に決定的な影響を与えたことを示しています。ヘンリー7世とその子孫、そして現在のイギリス王家まで、その血脈は連綿と続いています。さらに、ヨーク朝全体の王たち、そしてジェームズ2世以降のスコットランド君主にも、ボーフォート家の血が流れているという事実には驚かされます。

ボーフォート家の歴史は、王位継承権争いというドラマチックな側面だけではありません。庶流にも目を向けると、興味深い展開が見えてきます。第3代サマセット公ヘンリー・ボーフォートの庶子チャールズ・サマセットを祖とするサマセット家は、現在まで男系で家系が途絶えることなく続いています。ヘンリー8世によってウスター伯に叙爵されたチャールズとその子孫は、イギリスの歴史に様々な形で関わってきました。その6代後の子孫にあたる第3代ウスター侯ヘンリー・サマセットは、チャールズ2世の王政復古を支援した功績により、1682年にボーフォート公の爵位を授けられました。そして現在、第12代ボーフォート公ヘンリー・サマセットが、その家系の歴史を受け継いでいます。

このように、ボーフォート家は王位継承という華々しい歴史だけでなく、庶流の繁栄という側面も併せ持ち、イングランドの歴史に多大な影響を与えた家系と言えるでしょう。その系図は複雑で、幾多のドラマを秘めており、歴史研究においても重要な存在となっています。王位継承争い、そして数々の栄光と挫折、その全てがボーフォート家の歴史を彩る、色鮮やかな物語なのです。

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