ボーロマトライローカナート

ボーロマトライローカナート王(1431年 - 1488年)は、アユタヤ王朝の重要な君主の一人です。スコータイ王朝の血を引く彼は、アユタヤ王に即位する前にスコータイの統治者となりました。その後、父王の崩御を受けてアユタヤ王位を継承しました。

彼の治世において、アユタヤ王朝は大きな変革を遂げました。初期の行政組織は、内務大臣、宮法大臣、大蔵大臣、農業大臣といった文武混交の体制でしたが、ボーロマトライローカナート王はこれらの大臣を一旦総理大臣の下に置くことで、行政の効率化を図りました。さらに軍事面では、「軍部総司令官」を頂点とし、その下に二人の「司令官」、そして象兵長と三隊の歩兵隊を配置するという、より組織化された軍隊を編成しました。この行政体系は、後のラーマ5世によるチャクリー改革まで長く受け継がれることとなります。

法制面では、サームプラヤー王の時代に導入された神王政治を発展させ、サックディナー制度を完成させました。この制度は、1932年の立憲革命まで存続し、社会構造に大きな影響を与えました。

軍事面では、マラッカムスリムによる独立運動を鎮圧した後、サワンカロークの王がチエンマイのラーンナータイ王国と手を組みアユタヤに反旗を翻しました。これに対し、ボーロマトライローカナート王はまずサワンカロークを討伐し、都を北部のピサヌロークへ移しました。その後、チエンマイを征服し、アユタヤ・ラーンナー戦争(1456年 - 1474年)を終結させました。この北部征伐の様子は、後にアユタヤ王朝を代表する文学作品『リリット・ユワンパーイ』としてまとめられました。

ボーロマトライローカナート王は文学者としても知られており、『欽定版ジャータカ物語』を執筆したとされています。また、『リリット・プラロー』なども彼の作品であると伝えられていますが、これについては諸説あります。

彼の治世は、アユタヤ王朝の発展と安定に大きく貢献しました。行政、軍事、法制、文学といった多方面での彼の功績は、後世に多大な影響を与えました。

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