ポサードニク

ポサードニクとは

ポサードニク（ロシア語: посадник）は、キエフ・ルーシ時代における都市の指導者を指す言葉であり、特にノヴゴロドなどの重要な都市においてその役割を担いました。初期のポサードニクは、ルーシのクニャージ（公）によって任命されていましたが、次第にヴェーチェ（民会）によって選ばれるようになりました。

起源と歴史

ポサードニクの最初の記録は977年の『原初年代記』に見られ、キエフ大公ヤロポルク1世がノヴゴロドにポサードニクを置いたとの記述があります。この時期、ノヴゴロドには公の候補がいない場合、キエフから派遣された代官が与えられることがありました。歴史的な事例には、ウラジーミル1世の叔父ドブルィーニャやその子コンスタンチンが含まれています。

ポサードニクの選出方法の変化

その後、ポサードニクの選出方法は変化し、ボヤーレ（貴族）が集まるヴェーチェによって選出されるようになりました。ポサードニクの選出がヴェーチェによるものになったのは、キエフ大公ウラジーミル2世（ウラジーミル・モノマフ）の死後のことです。1126年、ノヴゴロドの人々は、自分たちの仲間をポサードニクとして選びました。

ノヴゴロド公国では1354年にボヤーレのオンチフォルの改革によって、ポサードニクの数が6人に制限される制度が導入されました。さらに、1416年から1417年にかけての改革ではその数が3倍になりました。また、プスコフ公国においても1308年から1510年の間に78名のポサードニクの名前が記録されています。初めはノヴゴロドから選任されていたプスコフのポサードニクは、1348年に独立を果たし、ボロト条約により、ポサードニク選出に関する自治権を獲得しました。

ポサードニクの役割の変遷

キエフ・ルーシ期のポサードニクには、日本語では「代官」や「公代理」といった訳語が使われることもあります。この時期のポサードニクは都市の行政や政治を担った重要な役職でしたが、後の時代ではノヴゴロドやフルィノフ地域においても公選される国家の最上位職を指すようになりました。

1478年、ノヴゴロド公国がモスクワ大公国に従属したことに伴い、ポサードニクとヴェーチェは廃止されました。その後、フルィノフは1490年、プスコフは1510年に同様の措置を受けました。民会の鐘は降ろされ、モスクワに運ばれることとなりました。

まとめ

ポサードニクはキエフ・ルーシ期の行政システムにおいて重要な役割を果たした職名であり、その後のロシアの都市政治に多大な影響を与えました。その歴史は、政治的権力の変遷や地方自治の発展の証と言えるでしょう。

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