ポルトガル時間

ポルトガルの時間

ポルトガルでは、本土とマデイラ諸島でUTC+0、アゾレス諸島でUTC-1を標準時としています。夏時間には、本土とマデイラ諸島でUTC+1、アゾレス諸島でUTC+0が適用されます。この時間制度は、歴史の中で何度も変更されてきました。以下にその詳細を説明します。

歴史

19世紀初頭、ポルトガルは平均太陽時を採用していました。リスボンに配置された海軍とコインブラ天文台が、それぞれ太陽時を計算し、1878年にはリスボン天文台が平均太陽時の計算と国家機関への通報の独占権を与えられました。これにより、ポルトガルの標準時は、リスボン天文台の経度における平均太陽時、GMT-0:36:45と定義されました。

1911年、ポルトガルの標準時は国際子午線会議の決定に従い、見直されることになりました。同年の政令により、ポルトガルとその海外領土の標準時が改正され、ポルトガル本土は地理的にはUTC-1に相当する位置にありながら、UTC+0を採用しました。この時、アゾレス諸島とカーボベルデはUTC-2、マデイラ諸島とギニアはUTC-1、サントメ・プリンシペとサン・ジョアン・バプティスタ・デ・アジュダはUTC+0、アンゴラはUTC+1、モザンビークはUTC+2、インドはUTC+5、マカオと東ティモールはUTC+8と定められました。これらの標準時は1912年1月1日に施行されました。

第一次世界大戦中の1916年、夏時間が初めて導入され、期間中は時計が1時間進められました。その後、夏時間の期間や実施の有無は頻繁に変更されましたが、1942年から1945年の第二次世界大戦中は、夏時間に加えてさらに1時間進める「二重夏時間」が実施されました。

1948年には、4月第一日曜日から10月第一日曜日まで夏時間が実施されることが承認されましたが、1966年以降は通年でUTC+1を採用することになり、実質的にポルトガルは時間帯を西ヨーロッパ時間（UTC+0）から中央ヨーロッパ時間（UTC+1）に変更しました。しかし、この変更は日没時間が遅くなり、朝は暗いまま出勤するという不満の声が多く上がり、学校の授業や生徒の成績にも影響を及ぼしました。さらに、1970年代のオイルショックを受けて、エネルギー節約の観点から夏時間を再導入する動きが強まりましたが、UTC+1を常時採用している国での不満も多かったため、中央ヨーロッパ夏時間（UTC+2）の採用は見送られました。

1976年、ポルトガルは標準時を西ヨーロッパ時間（UTC+0）に戻しました。夏時間は通常、4月上旬から9月下旬にかけて、西ヨーロッパ夏時間として実施されるようになりました。1981年からは、3月最終日曜日から9月最終日曜日まで実施されることになりました。

1986年、ポルトガルの時間はグリニッジ標準時ではなく、協定世界時（UTC）に基づいて計算されるようになりました。

1992年、アニーバル・カヴァコ・シルヴァ政権は、法令によりポルトガル本土の時間帯を中央ヨーロッパ時間（UTC+1）に変更しました。これは、ビジネスでの連携を強化し、エネルギーを節約することを目的としていました。しかし、この変更もまた不評で、冬の朝に暗い中で出勤・登校せざるを得ないという状況が生じました。また、夏の夜は日没が遅く、人々の睡眠習慣にも悪影響を及ぼしました。欧州委員会の調査では、早朝の照明利用が増加し、エネルギー消費量が増えていること、ラッシュアワーと最も暑い時間帯が重なり、大気汚染が深刻になっていることも明らかになりました。

これらの問題を受けて、1995年にリスボン天文台に報告を依頼したところ、ポルトガルの地理的な位置を考慮し、標準時を西ヨーロッパ時間（UTC+0）に戻すべきであるという結論が出ました。

1996年、ポルトガル本土は西ヨーロッパ時間帯に戻り、夏時間は3月最終日曜日から10月最終日曜日まで、EUの規則に従い西ヨーロッパ夏時間として実施されることになりました。同年、アゾレス諸島とマデイラ諸島も同様の法律を承認し、全国で夏時間が実施されるようになりました。

日付と時刻の表記法

1996年、ポルトガルはEN 28601を通じてISO 8601をNP EN 28601:1996として採用しました。

時報

リスボン天文台は、ネットワークタイムプロトコル（NTP）を通じて公式時刻を提供しています。

IANA time zone database

IANA time zone databaseには、ポルトガルの標準時として3つの時間帯が含まれています。

これらの歴史的変遷を通して、ポルトガルは時間制度を慎重に調整し、国民の生活と国際的な調和を両立させようとしてきました。時間に関する議論は、単なる時計の針の動きではなく、社会全体に影響を及ぼす重要な問題であることがわかります。

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