ポルト・トッレス

ポルト・トッレス（Porto Torres）は、イタリアのサルデーニャ島北西部に位置する、人口約2万2000人の港湾都市です。サッサリ県に属し、県内ではサッサリ、アルゲーロに次ぐ3番目の規模を誇ります。

地理

アジナーラ湾に面しており、北側は海に開け、他の三方はサッサリ市に囲まれています。アジナーラ湾の沖にはアジナーラ島とピアナ島があり、これらもポルト・トッレスの管轄下です。市街地は沿岸部に広がり、古代からの歴史と現代の活気が共存しています。

名称

ポルト・トッレスは、標準イタリア語以外にも異なる名称を持っています。
サッサリ・サルデーニャ語: Posthudorra
サルデーニャ語: Pòrtu Turre

これらの名称は、地域における多様な文化と言語の歴史を反映しています。

歴史

古代、この地はトゥッリス・リビソニス（Turris Libyssonis）と呼ばれ、サルデーニャ島における重要な都市の一つでした。ローマ時代以前から存在していたとされますが、特にローマ人の支配下で発展し、ユリウス・カエサルによって建設されたコロニア・ユリア（Colonia Julia）とも呼ばれました。大プリニウスは、当時サルデーニャで唯一のコロニア（植民市）であったと記しています。

トゥッリス・リビソニスは、古代ローマ帝国の重要な都市であり、カラリス（現在のカリャリ）からの幹線道路が直接結ばれていました。この道路はオトカで二手に分かれ、一つは内陸部へ、もう一つは西海岸沿いをたどっていました。現在の港はほぼ人工的なものですが、その多くはローマ時代に基礎が築かれています。また、フォルトゥーナ神殿、ローマ浴場、バシリカ、水道などの遺跡も存在しています。

中世には一時、司教座が置かれていましたが、11世紀に住民の大部分は内陸の丘陵都市サッサリに移住しました。その後、ジェノヴァ共和国、アラゴン王国の支配を経て、サルデーニャ王国の一部となりました。1842年にサッサリから分離し、サン・ガヴィーノ聖堂周辺の都市と港近くの漁村が統合され、現在のポルト・トッレス市が形成されました。

文化・観光

ポルト・トッレスには、歴史的建造物や考古学的な遺跡が多く存在します。

サン・ガヴィーノのバシリカ: 11世紀に建てられたサルデーニャ島最大のロマネスク様式の教会です。大理石、斑岩、花崗岩が使用され、2つのアプスが特徴的です。地下にはローマ時代の石棺が置かれています。
Su Crucifissu MannuのネクロポリスとLi Lioniのネクロポリス: 新石器時代のネクロポリスです。
ヌラーゲ: la Camusina、Li Pedriazzi、Margone、Minciareddaなどに存在しています。
リオ・マンヌのローマ橋遺跡: サルデーニャ島最大のローマ時代の橋で、アーチの径間は160-170mです。
Palazzo Re Barbaro: 歴史的な宮殿です。
カタコンベ: Tanca Borgonaとpiazzale Amsicoraにあります。
アラゴン人の望楼: ポルトとAbbacurrenteにあります。

交通

港は、フェリーによってジェノヴァ、マルセイユ、トゥーロン、バルセロナ、チヴィタヴェッキア、プロプリアノなどの主要都市と結ばれています。また、高速道路SS131/E25がサッサリやカリャリを結び、国道がサンタ・テレーザ・ガッルーラと接続しています。鉄道はトレニタリアが運営し、サッサリを経由して島の各地へアクセスできます。

産業

ポルト・トッレスの主要産業は化学工業です。E.ON社が所有するフィウメ・サント発電所が近くに位置しています。近年は、化石燃料から植物油を原料とするバイオプラスチックへの産業転換が進められています。市には7つの研究センターがあり、持続可能な産業への取り組みが積極的に行われています。

参考文献

この記事は、以下のパブリックドメインの文献に基づいて作成されました。

Smith, William, ed. (1857). "Turris Libyssonis". Dictionary of Greek and Roman Geography. Vol. 2. London: John Murray. p. 1241.
* Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Porto Torres". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 22 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 127.

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