ポロシエ

ポロシエ（ロシア語: Поросье）は、キエフ・ルーシ期における歴史的な地域区分であり、ステューフナ川とローシ川に挟まれた地域を指します。この地域は、家畜の育成に適した肥沃な牧草地が広がる一方で、キエフの南方からの外敵の侵入を防ぐための軍事的拠点としての役割も担っていました。

ポロシエの歴史

ポロシエ地域への最初の入植者は、ポリャーネ族とドゥレーブィ族であったと考えられています。しかし、遊牧民であるペチェネグ族の到来により、ポリャーネ族は北方へと追いやられることとなりました。その後、キエフ大公ウラジーミル1世がペチェネグ族との戦いの後、ポロシエに最初の軍事的入植地であるロデニを建設しました。ヤロスラフ1世は、キエフ南方の防衛線を強化するために、ポロシエ地域への進出に尽力しました。彼は、ローシ川沿いに多くの軍事的入植地を建設し、チョールヌィエ・クロブキ（オグズ族、トルク族、ベレンデイ族などの遊牧民の総称）の地に、リャフ人などを移住させました。

11世紀末になると、ポロヴェツ族の侵入が始まり、ポロシエの大部分はポロヴェツ族の領域となりました。しかし、12世紀初頭からは再びルーシ側の勢力が盛り返し、新たな軍事的入植地が築かれました。年代記には、トルチェスク（中心的都市）、ユーリエフ（現在のビーラ・ツェールクヴァ）、ヴァシリエフ（現在のヴァスィリキーウ）、トレポリ（現在のトリピーッリャ）、ウラセン、ヴァリン、スヴャトポルチ、ハレパ、ミハイロフ、ザルブ、カネフ（現在のカニウ）、ロストヴェツ、ヤチン、ヴォロダレフ（現在のヴォロダルカ）、ボロヴォエといった街の名前が記録されています。

ポリーシャとの違い

「ポリーシャ」という地域名がありますが、これは各国語表記や日本語表記によってはポロシエと類似した名称となるものの、両者は異なる地域です。

参考文献

Энциклопедический словарь Брокгауза и Ефрона
Голубовский, «Печенеги, торки и половцы до нашествия татар»
Грушевский, «Очерк Киевской земли от смерти Ярослава I до конца XIV в.»
H. Барсов, «Очерки русской исторической географии»

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