ポール・サイラス

ポール・サイラス:ディフェンスの要、優勝請負人、そして指導者



ポール・サイラス(Paul Theron Silas, 1943年7月12日 - 2022年12月11日)は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手、指導者です。16シーズンに及ぶNBAでの輝かしいキャリアの中で、ボストン・セルティックスシアトル・スーパーソニックスで合計3回の優勝を経験。屈強なディフェンダーとして知られ、引退後は複数のチームでヘッドコーチを務めました。また、彼の息子であるスティーブン・サイラスも、現在ヒューストン・ロケッツのヘッドコーチを務めています。

生い立ちと大学時代



アーカンソー州プレスコットで生まれたサイラスは、カリフォルニア州オークランドで育ちました。名門マククライモンズ高校に進学し、クレイトン大学に進みました。

クレイトン大学では、3シーズン中最初の2シーズンで平均20得点20リバウンド以上を記録。通算成績は20.5得点21.6リバウンドに達し、NCAA史上わずか6人しかいない、キャリア平均20得点20リバウンド以上を達成した選手の一人となりました。3シーズンでの通算1751リバウンドはNCAA新記録です。1962年2月19日の試合では、NCAA歴代8位となる38リバウンドを記録し、1962-63シーズンには平均20.6リバウンドでNCAAリバウンド王に輝きました。

NBAキャリア



セントルイス・ホークス



1964年のNBAドラフトで全体10位指名を受け、セントルイス・ホークスに入団。ルーキーイヤーから平均7.3リバウンドを記録し、リバウンダーとしての才能を発揮しましたが、当時のホークスは選手層が厚く、最初の2シーズンは出場機会に恵まれませんでした。

1966-67シーズンには、ゼルモ・ビーティの故障によりチャンスを得て出場時間が増加。1967-68シーズンには13.4得点11.7リバウンドと、平均ダブルダブルを達成しました。ホークスでは5シーズンプレイし、1969-70シーズン前にフェニックス・サンズに移籍しました。

フェニックス・サンズ



サンズでは中心選手として活躍。3シーズン全てでチームのリバウンドリーダーとなり、コニー・ホーキンズと共にゴール下を支えました。1968-69シーズンに16勝に終わったサンズは、サイラス加入後の1969-70シーズンに39勝を挙げ、プレーオフに進出。1970-71シーズンには48勝、1971-72シーズンには49勝と着実に勝利数を増やしましたが、当時のミッドウェスト・デビジョンは強豪揃いだったため、プレーオフ出場は叶いませんでした。

サイラスは1970-71シーズンに初のオールディフェンシブ2ndチームに選出され、サンズでの最後のシーズンとなった1971-72シーズンには、キャリアハイとなる17.5得点11.9リバウンド4.3アシストを記録し、オールスターにも初出場しました。

ボストン・セルティックス



1972-73シーズンにセルティックスに移籍。デイブ・コーウェンスの負担を軽減する存在として期待され、安定した成績を残しました。サイラスの加入によりセルティックスのディフェンスは大幅に改善され、1972-73シーズンにはリーグ屈指の68勝を記録。1973-74シーズンにはNBAファイナルでミルウォーキー・バックスを破り、サイラスはキャリア10年目にして初のチャンピオンリングを獲得しました。セルティックスは1975-76シーズンにも優勝し、サイラスはセルティックスで2つのチャンピオンリングを獲得しました。

また、サイラスは1974-75シーズンから2年連続でオールディフェンシブ1stチームに選出されています。

デンバー・ナゲッツシアトル・スーパーソニックス、そして引退



1976-77シーズンにデンバー・ナゲッツにトレード。その後、シアトル・スーパーソニックスに移籍し、1978-79シーズンには3つ目のチャンピオンリングを獲得しました。ソニックスで1シーズンプレイした後、サンディエゴ・クリッパーズからの選手兼コーチのオファーを受けましたが、コーチ業に専念するため現役を引退。NBA通算成績は1,254試合出場、11,782得点、12,357リバウンドでした。

コーチキャリア



引退後はコーチとして、サンディエゴ・クリッパーズ、シャーロット・ホーネッツクリーブランド・キャバリアーズ、シャーロット・ボブキャッツで指揮を執りました。

サイラスは選手としてもコーチとしても、その情熱とリーダーシップで多くの人々に影響を与えました。彼のバスケットボールへの貢献は、これからも長く語り継がれるでしょう。

主な業績



NBAファイナル制覇:1974年, 1976年, 1979年
NBAオールスターゲーム出場:1972年, 1975年
オールディフェンシブ1stチーム:1975年, 1976年
オールディフェンシブ2ndチーム:1971年, 1972年, 1973年
* シーズン通算オフェンスリバウンド数リーグ1位:1976年

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