ポール・トゥールーズの戦い

ポール・トゥールーズの戦い：ニューイングランドとフランスの衝突

ポール・トゥールーズの戦いは、1745年5月2日から10日にかけて、現在のノバスコシア州セントピーターズにあったフランスの拠点、ポール・トゥールーズを巡り、ニューイングランド植民地軍とフランス軍が激突した戦いです。この戦いは、オーストリア継承戦争（ジョージ王戦争）の一環として起こりました。

ポール・トゥールーズの戦略的重要性

ポール・トゥールーズは、フランスにとって戦略上非常に重要な場所でした。それは、イギリス領ノバスコシア本土に最も近いフランス植民地であり、また、ミクマク族との関係を維持する上で不可欠な拠点でもありました。ミクマク族の酋長たちは、同盟を更新するために毎年ポール・トゥールーズを訪れていました。

フランス王室は、ミクマク族との同盟維持とポール・トゥールーズの防衛強化のために多額の資金を投じていました。ポール・トゥールーズは、イギリスへの攻撃拠点としての役割も担っており、フランス海兵隊の駐屯地でもありました。ルイブール要塞に隣接するこの砦は、小規模ながら土塁と矢来を備え、一定の戦闘能力を有していました。

1744年のカンゾへの攻撃後、約200人のアカディア人が村を離れ、ポール・トゥールーズ周辺に避難していました。

戦闘の経過

1745年、マサチューセッツ湾植民地総督のウィリアム・シャーリーは、ポール・トゥールーズ攻撃の支援を議会から取り付けました。ニューハンプシャー植民地総督ベニング・ウェントワースも、他の植民地からの支援を得ようと奔走しました。コネチカット植民地は500人、ニューハンプシャー植民地は450人の兵を派遣し、ロードアイランド植民地は船、ニューヨーク植民地は大砲を提供、ペンシルベニア植民地とニュージャージー植民地は資金を援助しました。総勢4,200人の兵士と水兵からなるマサチューセッツ軍は、ウィリアム・ペッパーレル准将の指揮のもと、90隻の軍艦でボストンから出港しました。

遠征軍はカンゾに立ち寄り、食糧の再補給と人員の増強を行い、イギリス本国の正規兵と合流しました。3月末には、海軍がルイブールの封鎖を開始しました。しかし、春の到来とともにセントローレンス湾の氷が溶け出し、木造の軍艦は危険な状況に晒されました。

5月2日、ペッパーレルは70人の兵士と2隻の船をポール・トゥールーズ攻略のために派遣しました。しかし、ニューイングランド軍はフランス兵、アカディア人、ミクマク族の抵抗に遭い、スループ船1隻と数件の建物を焼くにとどまりました。5月10日、ニューイングランド軍は兵力を270人に増強し、再び攻撃を仕掛けました。今回はポール・トゥールーズの建物を焼き払い、砦を破壊し、ミクマク族の墓地を荒らしました。この攻撃でフランス兵に死者が出て、残りは捕虜となりました。

ルイブール包囲戦へ

ニューイングランド軍はその後も、プチ・ド・グラ、アイル・マダム、ネリシャといった周辺地域を破壊し続けました。これらの襲撃は、ルイブール要塞の包囲戦へとつながっていきます。ルイブールは47日間の包囲の後、6月17日にフランス軍が降伏しました。ポール・トゥールーズから逃れたアカディア人は、シグネクト地峡を越えてケベックへと向かいました。ルイブールの陥落後、イル・ロワイヤルにいた数千人のフランス人は本国に送還されました。

ポール・トゥールーズの戦いは、その後のルイブール包囲戦に繋がる重要な戦いであり、フランスとイギリス、そして先住民であるミクマク族の関係に大きな影響を与えました。

もう一度検索