ポール・リカール・サーキット

シルキュイ・ポール・リカール

シルキュイ・ポール・リカール（Circuit Paul Ricard）は、フランス南部のプロヴァンス地方に位置する著名なサーキットです。このサーキットは、マルセイユの東約40km、地中海から北に約15kmの場所にあり、南フランスの自然の美しさを背景にしています。特にこの地域では「ミストラル」と呼ばれる強風が特徴で、観光客やファンを魅了します。

このサーキットの名前は、リキュールブランドで知られるペルノ・リカール社の創設者、ポール・リカールに由来し、1970年4月に開業しました。その後、1971年から1990年にかけてF1フランスGPの開催地として名を馳せ、二輪のロードレース世界選手権も1973年から1999年まで行われるなど、 motorsport の歴史の中でも重要な役割を果たしてきました。特に、ボルドール24時間耐久レースは1999年までここで開催され、再びフランスのレース文化の中心地となりました。

1999年にポール・リカールが亡くなった後、このサーキットの運営権はバーニー・エクレストンの企業に引き継がれ、サーキットは新たな展開を迎えます。2002年には、ヘルマン・ティルケによる再設計が行われ、さまざまなコースレイアウトが可能な「ポール・リカール・ハイテク・テスト・トラック」として生まれ変わります。これにより、F1をはじめとするさまざまな車両のテストが行えるようになりました。

特に注目すべきは、サーキットにはウェットコンディションを再現するための散水装置が備わっており、トヨタなどのメーカーがF1に参戦するためのテストも行われました。2010年には、F1タイヤ供給会社であるピレリのテストも行われ、多くのメーカーがこのサーキットを利用しています。

2009年には観客席や施設の改修が行われ、改めて一般開放され、多くのレースが定期的に開催されるようになりました。特に、FIA GT選手権や世界ツーリングカー選手権など、さまざまなカテゴリーのレースが実施されています。

2013年には、フランスGPの復活に向けた計画が進められましたが、政治的な問題で頓挫してしまいました。しかし、2016年にはフランスGPが2018年から5年間開催される契約が結ばれ、再び世界の舞台に戻ってきました。これにより、サーキットは1990年以来28年ぶりにF1フランスGPを開催することとなりました。しかし、この契約は2022年に終了し、プロモーターも解散の道を辿りました。

レイアウト

シルキュイ・ポール・リカールのオリジナルコースは約5.81kmあり、高速S字やミストラルストレートと呼ばれる長い直線があり、数々の名レースを生み出しました。コースは高低差が少なく、フラットな構造が特徴です。過去には、性能の高い車両がこの条件下で優位に進行した事例もありました。

テストトラックとしては、全247通りのレイアウトが選択可能で、様々なシチュエーションでのテストが行えます。また、2018年のフランスGPではオリジナルに近い5.842kmのロングコースが採用され、さらにレースの興奮を増しています。コース周囲には特有の青と赤の縞模様が施され、これにより走行中の車両の制御がより容易になります。

周辺道路網も整備されており、空港が近隣に存在するため、アクセス面でも非常に優れています。サーキット近くにはレーシングカーのコンストラクターであるオレカの拠点もあり、モータースポーツ文化が息づく場所でもあります。シルキュイ・ポール・リカールは、その歴史とともに現代のモータースポーツの象徴的なサーキットとして、今後も多くのレースイベントで賑わうことでしょう。

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