マイケル・ウォード (登山家)

マイケル・フェルプス・ウォード

概要

マイケル・フェルプス・ウォード（Michael Phelps Ward、1925年3月26日 - 2005年10月7日）はイギリスの登山家であり、医師としても知られています。彼は登山活動を通じて医学に貢献し、多くの成果を残しました。

生い立ち

ウォードはロンドンで生まれました。少年時代、彼は父親がイギリス領マラヤで官僚として勤務していたため、家庭環境は複雑でした。また、母親が戦時中に日本軍に抑留され、戦後に帰国した後も別々の生活を強いられていました。そのため、ウォードはケント州セブノークス近くの養父母とともに育ちました。

教育面では、ウォードはモールブラ・カレッジを経て、ケンブリッジ大学のピーターハウスで自然科学を専攻しました。12歳でフランク・スマイスの著書『Camp 6』を読み、エベレストに強い興味を抱くようになり、15歳ではスイスのヴェッターホルンに登った経験を持ちます。この中で彼は登山の才能を示し、大学では登山クラブに参加して多くの著名な登山家と交流しました。

医師としてのキャリア

1947年にはフランスのエクラン山で落石事故に遭い、重傷を負いましたがその後回復し、医師の道を選びました。大学卒業後、ウォードは王立ロンドン病院医学校で医学を学び、医師としてキャリアをスタートさせました。彼は国民保健サービス（NHS）の支持者で、医師として開業することはなく、1993年までロンドンの複数の病院で勤務しました。また、王立ロンドン病院医学校では外科学の教授も務めました。

登山活動とヒマラヤ探検

1951年、ウォードはイギリス陸軍の医療部隊の一員として訓練中に、エベレストの探索に関する重要な情報に接しました。エベレストへのルートを解読し、これを英国山岳会と王立地理学会に提案しましたが初めは内容が受け入れられませんでした。彼は医師としてエリック・シプトンの1951年のエベレスト探検チームに参加し、以降も1953年のエベレスト登山遠征に関与しました。

この遠征では、彼はトム・ボーディロンとチャールズ・エヴァンスの支援を行い、ローツェ直下の第7キャンプまで到達しました。1957年にはフェリシティ・ジェーン・ユーバンクと結婚し、息子を一人もうけます。その後、彼は高標高環境における人体の生理学についての研究を進め、1960年には19000フィート（約5790メートル）の地点に小屋を建設し、5か月間滞在するという試みを行いました。

1980年にはコングール山の偵察遠征に参加し、成功を収めます。1981年にはイギリス隊による初登頂につながる偵察を行いました。1982年にはヒマラヤにおける医学的貢献が評価され、王立地理学会から金メダルを贈呈されました。また1983年には大英帝国勲章コマンダー（CBE）にも叙されました。

著作

ウォードはその豊かな経験をもとに多くの著作を発表しています。主な著書には『In This Short Span: Himalayan Mountaineering and Exploration』や『Mountain Medicine: Clinical Study of Cold and High Altitude』があります。また、共著として『High Altitude Medicine and Physiology』なども手掛けています。彼の著作は登山医学や高所登山の一翼を担っており、その貴重な知見は後世に受け継がれています。

結論

ウォードは医学と登山の両面で顕著な業績を残した人物です。彼の登山に対する情熱と医療における貢献は、永遠に記憶されることでしょう。

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