マイケル・ロバーツ (競馬)

マイケル・ロバーツの経歴と実績

マイケル・ロバーツ（Michael Roberts）は1954年5月17日に南アフリカで生まれた元騎手であり、現在は調教師として活動している。彼の乗馬への憧れは幼少時に家族が経営する牧場で強まり、体格の小柄さを活かして騎手の道を選んだ。1968年には騎手としてデビューし、1972/73年シーズンには見習い騎手ながらリーディングジョッキーの栄光を手にした。以降、長期にわたり南アフリカ競馬界のトップ騎手として活躍し続けた。

特に1981/82年シーズンには、南アフリカ競馬の歴史において初めて年間200勝を達成しており、その記録は彼の才能と努力を物語っている。1986年には、南アフリカの政情不安を理由にイギリスに拠点を移し、アレックス・スチュワート厩舎で主戦騎手として活動を開始。1988年には名馬ムトトとのコンビでキングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークスなどの重要レースを制し、その後も多くの大レースで優勝を重ねた。1992年には206勝を挙げ、イギリスのチャンピオンジョッキーにも輝いた。

日本競馬との深い関わりもロバーツのキャリアに彩りを加えている。彼は1991年に初めて来日し、ジャパンカップでテリモンに騎乗したことがきっかけだった。1995年からは短期免許を取得し、日本での騎乗を本格化。彼の存在は多くの競馬ファンに愛され、特に初年度にはイブキニュースターでフラワーカップを勝利するなど、鮮やかな成績を残した。1998年には朝日杯3歳ステークスでアドマイヤコジーンによる勝利を手にし、さらに翌日にはナリタホマレでダービーグランプリを制し、2日連続でGIレースを制する快挙を達成した。

しかし、競技生活は苦難の道でもあった。2001年9月に発生した落馬事故で脊椎を損傷し、復帰を図ったが2002年に現役を引退することとなる。その後、南アフリカで調教師として新たなキャリアをスタートさせ、着実に実績を積むことに取り組んでいる。

ロバーツは、2008年にJRA主催の第2回ジョッキーマスターズに参加し、62kgという体重で挑戦したが、彼特有の存在感を示し、直線で先頭に並びかけるなど、その競技者としての精神を見せている。

主な騎乗馬の記録

ロバーツが騎乗した馬たちの中で特に注目されるのは以下の馬たちである。

• - ムトト：キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス、エクリプスステークス優勝
• - インディアンスキマー：チャンピオンステークス、アイリッシュチャンピオンステークス優勝
• - プロルトリ：ダービーイタリアーノ優勝
• - ミスティコ：2000ギニー優勝
• - ランド：ジャパンカップ、ミラノ大賞典優勝
• - アドマイヤコジーン：朝日杯3歳ステークス優勝
• - ナリタホマレ：ダービーグランプリ優勝

人間的なエピソード

1998年、ダービーグランプリのレース後、帰りの東北新幹線で宇都宮の内田利雄騎手と遭遇したロバーツ。二人は意気投合し、周囲にいた競馬ファンに対してビールを振舞いながら楽しい時間を過ごした。競馬という共通の情熱が彼らを結びつけ、互いの成功を祝い合う姿は、競技の枠を超えて人間味のある交流を感じさせる事例であった。

今後のマイケル・ロバーツの活躍、特に調教師としての活動から目が離せない。彼が培った経験と知識は、多くの若手騎手や馬たちに影響を与え続けるに違いない。

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