マクラーレン・M28

マクラーレンM28：グラウンドエフェクト時代の挑戦

1979年のF1世界選手権でマクラーレンチームが投入したM28は、チームにとって初のグラウンドエフェクトカーとして注目を集めました。設計はゴードン・コパックの手によるもので、当時圧倒的な速さを誇っていたロータス79を強く意識したデザインが特徴的でした。軽量で強固なアルミニウムハニカムモノコック構造を採用するなど、先進的な技術が惜しみなく投入されています。

当初は、ロータスから移籍してきたロニー・ピーターソンがドライブする予定でしたが、悲劇的な事故により実現することはありませんでした。その後のドライバー選考を経て、シーズン開幕戦となるアルゼンチンGPではジョン・ワトソンがステアリングを握り、見事3位表彰台を獲得。チームにとって幸先のいいスタートとなりました。しかし、この成功の裏には課題も隠されていました。

M28は、当初設計された車両サイズが大きすぎるために重量増加によるハンドリングの悪さと、十分なグリップ力を確保できないという問題を抱えていたのです。このため、シーズン中盤には幾度にもわたる改良が施されました。スペインGPでは全長と重量を削減したM28Bが投入され、モナコGPではさらに改良が加えられたM28Cが登場します。しかしながら、これらの改良策をもってしても、M28の潜在能力を完全に引き出すことはできませんでした。

結局、マクラーレンチームはM28の改良を断念。イギリスGPからは、より完成度の高い後継マシンであるM29へと切り替えることを決断しました。M28は、その短い現役期間において、潜在能力を十分に発揮しきれなかったものの、グラウンドエフェクトカー開発において貴重な経験を積むと共に、チームの技術発展に貢献したと言えるでしょう。

スペック

まとめ

マクラーレンM28は、チームにとって初のグラウンドエフェクトカーという歴史的意義を持つマシンです。その開発には、ロータス79を意識した設計や、アルミニウムハニカムモノコックなど、当時の最先端技術が用いられました。しかし、重量やグリップの問題を抱えていたこともあり、改良を重ねながらもM29への移行を余儀なくされました。M28は、短命に終わったものの、マクラーレンチームのF1における技術発展に貢献した重要なマシンとして記憶されています。今後のF1マシンの開発史においても、M28の存在は重要な位置を占めるものと言えるでしょう。

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