マケドニア正教会

マケドニア正教会：歴史、現状、そして課題

マケドニア正教会（マケドニア語: Македонска православна црква）は、北マケドニア共和国を中心に活動する正教会です。その起源は古く、1019年に東ローマ帝国によってオフリド大主教区が設置されたことに遡ります。しかし、1767年にオスマン帝国によって解体され、コンスタンディヌーポリ総主教庁に併合されました。

独立までの道のり

19世紀末から20世紀にかけて、オフリド大主教区の復活を目指す運動が活発化しました。第一次世界大戦後、ヴァルダル・マケドニアがセルビアの一部となると、この地域の教区はセルビア正教会の管轄下に入りました。第二次世界大戦中には一時ブルガリア正教会の管轄となりましたが、戦後、ユーゴスラビア連邦人民共和国が成立すると、マケドニア社会主義共和国が構成国として誕生し、1944年にオフリド大主教区の復活が議定されました。

1958年にはセルビア正教会によって承認され、1959年にはマケドニア正教会への改組が提案されました。ドシテイが初代大主教となり、セルビア正教会の自治教会として認められました。しかし、1967年7月19日、マケドニア正教会はオフリドで独立を宣言しました。

他の正教会との関係

独立宣言後、マケドニア正教会の地位は他の正教会から承認されず、長らく未承認の状態が続きました。ユーゴスラビア崩壊後、セルビア正教会との間で、自治獲得の過程や少数派となったセルビア正教徒、中世の聖堂に関する問題が生じました。2002年には一時的な合意がなされたものの、後に撤回され、セルビア正教会は正統オフリド大主教区を設置し、自治権を付与しました。

正統オフリド大主教区は北マケドニア共和国で孤立し、政府はヨヴァン大主教の教会を承認せず、攻撃や逮捕、国外追放が行われました。一方、セルビア正教会はマケドニア側による修道院への出入りを禁止するなど、両教会の関係は悪化しました。

しかし、2022年6月5日、セルビア正教会はマケドニア正教会に独立正教会の地位を認めるトモスを授与し、長年の懸案に終止符が打たれました。

組織

2005年時点では、オフリド大主教ステファンが首座主教を務めています。ステファンは9人の府主教からなる聖シノドの長でもあります。北マケドニア共和国にはスコピエ、ポロク、クマノヴォ、デバル、キチェヴォなど7つの教区があり、国外にはアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなど6つの教区が置かれ、主にディアスポラのために活動しています。マケドニア正教会全体では、約500人の司祭と2000の聖堂、修道院を抱えています。

マケドニア正教会は、長年にわたる困難な道のりを経て独立を達成しましたが、その過程で多くの課題にも直面しました。今後は、他の正教会との関係を強化し、信徒の信仰を深めることが重要となるでしょう。

関連情報
セルビア正教会
マケドニア東方カトリック教会

外部リンク
* 公式サイト

もう一度検索