マシュヤグとマシュヤーナグ

マシュヤグとマシュヤーナグ：ゾロアスター教における人類の始祖

ゾロアスター教の文書に登場するマシュヤグ（Mašyag）とマシュヤーナグ（Mašyānag）は、人類の歴史における最初の人間とされる兄妹です。彼らは教祖ザラスシュトラと近しい人物であったジャーマースプが、ザラスシュトラから伝えられた教えを記したとされる『アヤードガーリー・ジャーマースピーグ』などの文献に記述されています。

誕生と役割

彼らは、ガヨーマルトがスプンタ・アールマティに精液を放出した結果として生まれたとされています。ガヨーマルトがアフリマンによって殺害されたため、当時、人間は彼らしか存在しませんでした。最初は麻の形をして地中から現れ、後に男女の人間の姿になったと伝えられています。

結婚と子孫

マシュヤグとマシュヤーナグは、しばらくの間婚姻関係を結ばずにいましたが、93年6ヶ月の後に結婚し、男女一組の双子を7組産みました。そのうちの一組であるスヤーマグとナシャーグからフラワーグとフラワーギーの兄妹が生まれ、さらにこの兄妹からホーシュヤングとゴーザグの兄妹が誕生しました。ホーシュヤングとゴーザグからはウィーワングの兄妹が生まれ、彼らの子供がタクモールブ、ナレサフ、スピドユル、ジャム、ジャマグの5人です。

この7組の双子は、それぞれが共に生まれた異性を配偶者とし、その子孫から人類の歴史が始まったとされています。ホーシュヤングは、アーリア人最初の王朝であるペーシュダート王朝を築いた人物としても知られています。

人類の堕落

しかし、彼らの子孫である純粋な人類は、アフリマンの襲撃を受け、悪と混合することになりました。これにより、善と悪の戦いが始まり、ゾロアスター教の教義における重要な要素となっています。

参考文献

伊藤義教 『ゾロアスター教論集』 平河出版社、2001年。ISBN 4892033154
伊藤義教 『古代ペルシア』 岩波書店、1974年。

関連項目

ゾロアスター教
イラン神話

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