マツダ・オートザムレビュー

マツダ・レビュー：コンパクトカーの隠れた名車

マツダ・レビューは、1990年に誕生した小型乗用車です。当初はマツダの販売チャネルの一つであったオートザム店で販売されていたため、「オートザム・レビュー」という名称でしたが、後に「マツダ・レビュー」に改名されました。可愛らしい丸みを帯びたデザインと、優れた実用性が特徴的なモデルとして知られています。

開発とデザイン

レビューの開発には、フォード・フェスティバのプラットフォームの後継であるDBプラットフォームが用いられました。このプラットフォームは、後にマツダのベストセラーモデルとなるデミオにも採用されています。実は、デミオは当初レビューの後継車として開発されていましたが、オートザム店の統合により、別車種として発売されることになりました。

レビューのデザインは、同時期に販売されていたオートザム・キャロルを彷彿とさせる丸みを帯びたスタイルが特徴です。コンパクトなボディながら、大人4人が快適に座れる広々とした室内空間と、十分な容量を持つトランクルームを実現していました。ユニークな点として、後席からも操作可能な3Way電動キャンバストップが設定されていました。このキャンバストップは、前方、後方、そして前後両方から開閉することができる画期的なものでした。

エンジンと性能

搭載エンジンは、1.3Lと1.5Lの2種類の直列4気筒SOHCガソリンエンジンで、いずれも4バルブ仕様の高性能エンジンでした。トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックが用意され、オートマチックにはキックダウン機構が備わっていました。駆動方式は前輪駆動です。

販売と評価

日本市場では、女性ユーザーをターゲットにしたマーケティング戦略が功を奏さず、大きな人気を得るには至りませんでした。しかし、その優れたパッケージングとコストパフォーマンスは高く評価され、一定の支持を獲得しました。一方、海外市場、特に欧州では、そのコンパクトなボディと広い室内空間が人気を呼び、販売は好調でした。特にドイツでは、シトロエン・2CVを彷彿とさせるモデルとして注目を集め、バックオーダーを抱えるほどの人気となりました。

コストカットと生産終了

レビューには、アウタードアハンドルは無塗装、後部座席のパワーウィンドウは省略、運転席窓のスイッチも運転席ドアにのみ設置されるなど、大胆なコストカットが施されていました。このコストカットは、生産終了まで継続されました。日本国内では、マツダ・デミオの登場とオートザム店の統合により、レビューはマツダ・レビューに改名され、しばらく併売されましたが、1997年12月に生産終了、1998年12月に販売終了となりました。総生産台数は約5万7千台でした。

海外展開と121

レビューは、欧州とオセアニア地域を中心に、フォード・フェスティバをベースとしたマツダ121の後継車として輸出されました。121はすでに欧州で好評を得ていたため、レビューもスムーズに受け入れられました。広い室内空間とトランク容量が評価され、特にドイツでは高い人気を誇りました。しかし、マツダが他の高価格帯モデルの輸出に注力したため、レビューの出荷台数は抑制されていました。オーストラリアでも人気があり、2020年代現在でも中古車市場で流通しています。1996年には、オセアニアではデミオ、欧州ではフォード・フィエスタをベースとした新型121が発売され、レビューの系譜はそこで途絶えました。

まとめ

マツダ・レビューは、日本では大きな成功を収めることはありませんでしたが、独自の個性と実用性を兼ね備えた魅力的なモデルでした。特に海外市場での評価は高く、コンパクトカーの歴史において重要な位置を占める一台と言えるでしょう。そのコストパフォーマンスの高さや、独特のデザインは、現在でも多くのファンを魅了し続けています。

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