マツダ・フレアワゴン

マツダ フレアワゴン：軽自動車市場を彩る多様な選択肢

フレアワゴンは、マツダが販売する軽トールワゴンです。スズキが生産し、マツダブランドで販売されるOEM供給車種であり、特に2代目以降はスズキのスペーシアと密接な関係を持ち、兄弟車種のような位置付けにあります。そのため、フレアワゴンのモデルチェンジ回数はスペーシアよりも多く、3世代に渡って販売されてきました。

フレアワゴンの歴史：3世代の進化

初代モデル (MM21S型、2012年-2013年)

2012年6月に販売が開始された初代フレアワゴンは、スズキ・パレットをベースとして開発されました。パレットと同様のグレード体系を持ちつつも、グレード名や一部装備内容は差別化が図られています。アイドリングストップシステムやヒルホールドコントロールを搭載した特別仕様車も設定されました。しかし、スポーティモデルや一部ボディカラーは設定されず、販売期間は約10ヶ月間と短期間に留まりました。搭載エンジンは、自然吸気エンジンとインタークーラーターボエンジンの2種類が用意されました。トランスミッションは副変速機構付きCVTのみでした。

2代目モデル (MM32S/42S型、2013年-2018年)

2013年4月には、フルモデルチェンジで2代目フレアワゴンが登場しました。ベース車両はパレットの後継車種であるスペーシアに変更。減速エネルギー回生システム「エネチャージ」や蓄冷技術「エコクール」、停車前アイドリングストップ機能などを採用し、燃費性能の大幅な向上を実現しました。エンジンはR06A型に換装され、車体軽量化も実施されました。グレード体系は「XG」と「XS」の2グレードで、スペーシアのターボ車に相当するグレードは設定されませんでした。

2013年には、スポーティなカスタムスタイルが追加されました。外観はフレアワゴン同様エンブレム類の変更にとどまり、スペーシアカスタムをベースとしています。NAエンジン車とターボ車の2グレードが用意されました。また、同時期に車いす移動車も発売されました。

その後、2015年にはマイナーチェンジを実施。NA車には「S-エネチャージ」を採用し、燃費性能をさらに向上させました。安全面でも強化が図られ、「デュアルカメラブレーキサポート」など先進安全装備が標準装備化されました。

2017年には最終的な改良が施され、2018年には3代目へのフルモデルチェンジに伴い販売を終了しました。

3代目モデル (MM53S型、2018年-2023年)

2018年2月に登場した3代目フレアワゴンは、マイルドハイブリッドシステムを搭載。グレード体系は2代目の改良モデルを踏襲しつつ、グレード名に「HYBRID」が追加されました。「デュアルセンサーブレーキサポート」や「後退時ブレーキサポート」などの安全装備も強化されました。カスタムスタイルに加え、SUVテイストの「タフスタイル」も追加され、より幅広いユーザーのニーズに対応できるようになりました。

2020年には一部改良を行い、衝突被害軽減ブレーキの性能向上や、クルーズコントロールの標準装備化などを実施しました。2021年の改良では、フロントグリルの意匠変更や車線逸脱抑制機能の追加などが行われました。

4代目モデル (MM54S/94S型、2023年-)

2023年12月には、フルモデルチェンジで4代目フレアワゴンが登場しました。ベース車であるスペーシアギアの一時的なラインナップ廃止に伴い、発売当初はタフスタイルの設定がありませんでした。グレード体系は、初代フレアワゴンに近いものに戻り、カスタムスタイルは廉価グレードが廃止されました。

安全性能はさらに進化し、「デュアルセンサーブレーキサポートII」や「低速時ブレーキサポート」が採用されました。「XS」グレードには電動パーキングブレーキとブレーキホールドが、カスタムスタイルにはステアリングヒーターがそれぞれマツダの軽自動車で初採用されました。

フレアワゴンの魅力：多様なニーズに対応

フレアワゴンは、その3世代にわたる進化の中で、燃費性能、安全性能、デザインの多様性を追求してきました。初代モデルから培ってきた信頼性と、スペーシアとの姉妹車関係による技術共有によって、コストパフォーマンスの高い軽トールワゴンとして、ユーザーに支持されてきました。ノーマルモデルに加え、カスタムスタイルやタフスタイルといった個性的なモデルも展開することで、幅広いユーザーのニーズに対応する選択肢を提供しています。そして、車いす移動車の設定も、フレアワゴンのバリアフリーへの取り組みを示しています。

まとめ

マツダ フレアワゴンは、スズキとの連携による技術力とマツダ独自のブランドイメージを融合させた、魅力的な軽トールワゴンです。長年に渡る改良と進化によって、高い実用性と安全性能、そして多様なデザインバリエーションを備え、ユーザーの期待に応え続けています。

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