マドラス条約

マドラス条約について

概要

マドラス条約（英: Treaty of Madras）は、1769年4月2日に締結された、第一次マイソール戦争に関する講和条約です。この条約は、マイソール王国のハイダル・アリーとイギリス東インド会社の代表によって署名されました。条約は、両国の軍事的な緊張を緩和することを目的としており、戦争の終結をもたらしました。

背景

第一次マイソール戦争は1767年に始まりました。当初はマイソール王国が優位に戦いを進めていましたが、和平への道筋は見えず、ハイダル・アリーは不満を募らせました。彼は南カーナティックの平定を終えた後、軍をマドラスに送り込みます。英東インド会社はこの危機的状況を重く見て和平交渉を試みるも、ハイダル・アリーが交渉からイギリスに味方したカルナータカ太守ケナーハンを外すよう要求し、これが拒否されたため交渉は決裂。彼は6千の騎兵と少数の歩兵を率いて、3日間で210kmを移動し、マドラスに迫りました。この時、マドラスは多くの兵が駐留していなかったため脆弱な状態でした。

条約の締結

このような状況下で、イギリス東インド会社は早急に譲歩をし、和約を結ぶこととなります。ハイダル・アリーは、イギリスとの対マラーター攻守同盟を提案しましたが、イギリスは防御同盟に限定されました。和約の内容には、占領地の相互返還や捕虜の返還の条項が含まれ、さらに「マイソール王国がマラーター王国に攻撃を受けた場合、イギリスが援助する」という内容も盛り込まれました。

その後の影響

この条約によってイギリスの後ろ盾を得たハイダル・アリーは1771年にマラーター王国との戦争を開始しますが、イギリスからの援助は得られず、1775年に勃発した第一次マラーター戦争の際にも援助を受けることはありませんでした。このことは、条約の本来の意義が失われる結果となり、第二次マイソール戦争の遠因となります。

1779年には、マイソール王国、マラーター王国、ニザーム王国の三国同盟が成立し、マイソールとマラーター間の戦争が終結を迎えます。その翌年、ハイダル・アリーはカーナティック地方に侵攻して第二次マイソール戦争を引き起こしました。

参考文献

本条約やその背景については、いくつかの文献が存在し、辛島昇の『世界歴史大系 南アジア史3―南インド―』や、Turnbullの著作『Warren Hastings』、Bowringの『Haidar Alí and Tipú Sultán』、Wilksの『Historical Sketches of the South of India』などが参考になります。これらの文献は、マイソール王国の歴史や第一次マイソール戦争の詳細を知るために有用です。

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