マニラの戦い (1762年)

マニラの戦いは、七年戦争中の1762年9月24日から10月6日にかけて、イギリスとスペインの間でフィリピンの首都マニラとその周辺を舞台に行われた戦闘です。イギリス軍が勝利し、当時スペインの植民地であったマニラを短期間占領しました。

戦闘に至るまで

イギリス政府はウィリアム・ドレイパー大佐によるフィリピン侵攻計画を承認し、カスカート・グラント大尉指揮下のシーホース号をマニラへ派遣しました。テディンソン准将率いるイギリス艦隊の先鋒は7月21日にマドラスを出港し、残りはサミュエル・コーニッシュ准将とドレイパー大佐が率いて8月1日に出発しました。旗艦はノーフォーク号でした。

イギリス艦隊は、戦列艦8隻、フリゲート3隻、貨物船4隻から構成され、正規軍、海員、海兵隊合わせて6839人が乗り込んでいました。

一方、マニラの守備はフィリピン総督が担当し、陸軍指揮官はドン・ミゲル・デ・バルデス、砲兵指揮官はドン・フェリクス・デ・エギルクス中将とヴィラ・メディナ侯爵でした。

戦闘の経過

コーニッシュの艦隊は9月23日にマニラ湾に到着し、マニラの南2マイルの地点に上陸しました。翌日、632人の海兵隊が上陸し、25日にはサン・アントニオ・アバド要塞を占領しました。

イギリス軍の偵察により、マニラの要塞が未完成であることが判明しました。濠はなく、通路は老朽化し、斜堤は低すぎ、外塁の一部には大砲が設置されていませんでした。

9月30日には、携帯シャベルを積んだイギリス輸送船が到着しましたが、強風により岸近くに座礁しました。しかし、この座礁がドレイパー軍の背後からの攻撃を防ぐ結果となり、イギリス軍にとっては幸運でした。

10月1日には再び強風が吹き、上陸軍とイギリス艦隊の連絡が途絶えました。4日の朝には、1000人のパンパンガ族がイギリス軍を攻撃しましたが、300人の損害を出して撃退されました。この失敗の後、パンパンガ族は1800人を除いてマニラ市を放棄しました。

イギリス軍は脆弱なマニラの守備を容易に突破し、ラッセル中尉は10月6日に城壁の穴からマニラに侵入しました。総督代理のマニラ大司教マヌエル・ロホ・デル・リオ・イ・ビエイラは、無益な死傷者の増加を防ぐため降伏を決断しました。

戦闘後

イギリスの指揮官たちはマニラを略奪しませんでしたが、軍政を敷く代わりに400万ドルの賠償金を要求しました。この巨額の賠償金により、フィリピンは富裕なマニラと共に衰退しました。

イギリスはスペインとの和平交渉が成立するまでマニラを占領しましたが、マニラ陥落の知らせは戦争終結までスペインに届きませんでした。スペインはオイドールのドン・シモン・アンダ・イ・サラザールをブラカンに派遣し、フィリピンをイギリスとその同盟者から奪還させようとしました。彼は主にフィリピン人で構成された1万人の陸軍を組織し、ホセ・ブストに指揮権を委ねました。

イギリス東インド会社は文官のドーソン・ドレイクを暫定総督およびマニラ評議会議長に任命し、陸軍を指揮したフェール少佐をマニラ評議会の議員に任命しました。彼らの支配はマニラとカヴィテに限定されました。ディエゴ・シランの反乱に対する支援の約束は守られず、彼の反乱も妻ガブリエラ・シランによって引き継がれましたが、最終的にスペイン軍によって鎮圧されました。

イギリスの遠征はスペインの宝物船の拿捕によって報われました。イギリス軍はアカプルコ産の銀を積んだフィリピーナ号と、中国からの貨物を積んだサンティシマ・トリニダー号を拿捕しました。しかし、コーニッシュが東インド艦隊と共にマドラスへ出航した際、200万ポンドの賠償金のうち516,260ドルしか回収できませんでした。残りは為替手形で支払われる予定でしたが、スペインによって支払いを拒否されました。

マニラはその後18ヶ月間イギリスの支配下に置かれ、1763年のパリ条約を経て1764年4月にスペインに返還されました。

1763年4月19日、イギリス議会はドレイパーとコーニッシュへの感謝の動議を可決し、コーニッシュを準男爵に叙し、ドレイパーにはバス勲章を授与しました。

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