マヤ数字

マヤ数字について

マヤ数字（Maya numerals）は、古代マヤ文明において用いられた独特の数の表現方法を指します。この数字体系は、点と棒を用いた記号で構成されており、五進法及び二十進法の要素を持ち合わせています。実際、点は1を示し、棒は5を意味します。これに基づいて数が構成され、特にその組み合わせが重要となります。

表記法

マヤ数字の基本的な表現は、点を1に、横棒を5に当てはめる形で示されます。たとえば、6は「1つの点の下に横棒1つ」として表され（1 + 5）、19は「4つの点の下に横棒3つ」となります。この場合、点は上に、横棒は下に配置されるのが特徴です。また、ゼロを表現するためには貝殻を模した記号が使われるなど、さまざまなバリエーションが存在します。

興味深いことに、マヤ語そのものにおける数のカウントの方式は五進法に基づいていませんが、マヤ数字は数を示す際にこのような五進法と二十進法を巧みに組み合わせているのです。

位取り記数法

20以上の数値に対しては位取り記数法が採用されます。この方式では、最も小さい桁を下に、大きな桁を上に縦に並べて記述します。具体的には、二十の位を示す桁、四百の位、八千の位、および十六万の位といった構成がなされます。ただし、この方法が記されているのは『ドレスデン絵文書』を含む特定の文書に見られ、主に乗算表や天文学の計算に用いられています。

また、位取り表記の代わりに、月の形をした記号が20を表現することがある点も注目です。たとえば、朔望月の日数を示すために、29日は月記号に9を組み合わせ、30日は月記号に10を合わせて表現されます。

数字の表現に際しては、頭字体と呼ばれる神の顔や全身体を描いた記号が使われることもあります。これらの記号は0から19までの数を表し、特に10を示す場合には頭蓋骨の形が用いられます。

マヤ以外での使用例

マヤ以外でも、点と棒の組み合わせによる表現形式は存在しています。たとえば、メキシコのベラクルス州にあるラ・モハーラ遺跡の1号石碑には、独特の文字で碑文が刻まれ、その中に8.5.16.9.7を意味する数字が表されています。これは長期暦で西暦156年の日付を示しています。このように、他のメソアメリカの文化でも点と棒の数字表記が認められています。

マヤ暦との関連

マヤ数はまた、マヤ文明の暦とも密接に関連しています。マヤ暦には、1年が365日であるハアブと、1年が260日であるツォルキンという2種類の暦があります。ハアブは20日ごとに18か月に分かれており、さらに5日の余分な期間が存在します。それぞれの月に専用の名前が与えられ、日付は数字と結びついて点と棒を使って表記されます。一方、ツォルキンは特別な名前を持つ20日周期と1から13までの数字の組み合わせから構成されています。どちらの暦体系も、数字はマヤ数字によって表現されます。

これらの暦は合わせて約52年の周期を形成し、カレンダー・ラウンドとして知られています。特に長期暦では、日付を示すために5桁の数字が必要とされます。各桁は時間の単位（バクトゥン、カトゥン、トゥン、ウィナル、史歆）に関連し、これらは概ね二十進法に基づいていますが、一部の桁（ウィナルなど）では通常の月とは異なる日数の処理があります。

コンピュータ

近年、Unicodeのバージョン11.0（2018年6月）から、マヤ数字が特定のコードポイント（U+1D2E0からU+1D2FF）に定義されています。これにより、デジタル環境でもマヤ数字が利用可能になりました。

マヤ数字は歴史の中で多様な意味や用途を持ち、文明の発展に寄与してきた興味深い体系の一部です。

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