マンガラ

マンガラ（Mangγla）: モンゴル帝国の王族

マンガラは、モンゴル帝国の重要な王族であり、世祖クビライの三男として知られています。彼は1272年に父親によって安西王に封じられ、即位前から京兆府を所領として持っていました。マンガラは15万のモンゴル軍団を指揮し、中国の西部地域、特に陝西、四川、甘粛、チベット方面での最高司令官としての地位を確立しました。

軍事活動と官職

マンガラに与えられた王府は、京兆府と寧夏の六盤山に位置する開成府の間で季節的に移動する形式のもので、彼による小規模な宮廷が形成されました。これはカアンや上都の宮廷における指導力を示すものであり、特に難易度の高い地域での統治を強化する目的がありました。

安西王国の主要な軍事活動は、河西や天山地区に集中しており、彼は同じく王族であるオゴデイ家やチャガタイ家の勢力と対峙する立場にありました。彼はコデン王家やチュベイ王家、また庶弟たちと連携しながら地域の支配争いを展開しました。1275年にはクンガ・サンポの乱に対処するため援軍を派遣するなど、彼の軍事的手腕が試される場面も多く見受けられました。

政治的混乱と困難

特に1277年に発生したシリギの乱では、北平王のノムガンが敵対勢力に捕われ、混乱が広がります。マンガラはその事態を収拾するために派遣され、大きな圧力をかけられました。また、六盤山が王族による攻撃を受けるなど、困難な状況下での戦いを強いられました。これらの政治的・軍事的混乱は、最終的に彼の死後も続き、1280年にマンガラは亡くなることになります。

子孫と安西王国の運命

マンガラの死後、安西王の爵位と所領は子のアナンダが継承しました。しかしアナンダは後にカアン位を巡る争いに巻き込まれて処刑され、その結果、マンガラの安西王国は消滅する運命を辿ります。

彼の子孫としては阿難答（アナンダ）や按檀不花（アルタン・ブカ）などが存在し、彼らは各々異なる王位を継承しました。いくつかの史料によれば、これらの人物の詳細については多くの記述が残されている一方で、アルスラン・ブカに関しては情報が乏しく、不明な点が多いのが実情です。これにより、マンガラの家系はその後のモンゴル帝国においても重要な役割を果たすことになります。

参考資料

この内容は杉山正明の著書『モンゴル帝国と大元ウルス』や『元史』などの文献に基づいています。歴史的観点から見ても、マンガラの活動やその家系の動向は、モンゴル帝国の政治や軍事戦略を理解する上で重要な要素となっています。

もう一度検索