マーキュリー・グランドマーキー

グランドマーキー（Grand Marquis）

グランドマーキーは、アメリカの自動車メーカーであるフォードが製造し、マーキュリーというブランドで販売されていたフルサイズの自動車です。このモデルは1979年に初代が登場し、2010年までの長い歴史を持ちます。

1. 初代（1979年–1991年）

初代グランドマーキーは、最初に「マーキー」という名称で知られていました。この名称は1967年から1968年にかけて製造されていた6代目モントレーの2ドアハードトップに由来し、1975年にはより高級なモデルとして「マーキー・ブロアム」が登場しました。そして1979年に、マーキュリーの独立したモデル名として「マーキュリー・マーキー」の販売が始まりました。

この車はフォードの高級車「LTD」をもとにした、マーキュリーのトップモデルとして位置づけられ、グレードはベースモデルのマーキー、上級版のブロアム、さらには1983年に最上級モデルへと改称されたグランドマーキー、そしてステーションワゴンモデルのコロニーパークの4つがありました。1983年以降はグランドマーキーがベースグレードとされ、最上級モデルとしてLSもラインナップされるようになりました。

ボディのバリエーションは4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、2ドアクーペの3タイプが用意されており、乗車定員は体型によって異なります。特にメキシコでは、ストレッチ・リムジンのオプションも提供されました。この車の製造はミズーリ州、カナダ、メキシコの工場で行われ、日本やサウジアラビアを含むいくつかの国にも輸出されました。

エンジンは5.0リッターと5.8リッターがあったほか、1981年には4.2リッターが追加されました。1990年にはエアバッグも標準装備され、年間10万台以上を売り上げるヒット車として、その生産は続けられました。

2. 2代目（1992年-1997年）

1992年には2代目が登場しました。初代から引き継がれたパンサー・プラットフォームを基にしつつも、サスペンションの調整が行われ、新しいV8エンジンが搭載され燃費も改善されました。デザインは空力学を考慮に入れたものとなっています。

また、この2代目は初代の成功を受け継ぎ、マーキュリーの中での最高ラインとして位置づけられました。販売されるのは主に4ドアセダンで、特に初代の人気モデルだったクーペやワゴンは廃止されました。エンジンは4.6リッターV8OHVが搭載され、トランスミッションは依然としてコラムシフトの4速ATのみという構成でした。

3. 3代目（1997年-2003年）

1997年には3代目のモデルが登場。フォード・クラウンビクトリアと同様に、ボディやパワートレインの多くが先代と共通でしたが、内装とフロントマスクが大きく変更され、事実上のマイナーチェンジとなりました。この頃、競合メーカーのシボレー・カプリスが生産中止となったため、この車はアメリカ製フルサイズFR車としての最終的な存在になりました。

4. 4代目（2003年-2010年）

2003年にフルモデルチェンジが行われ、内装と外装にいくつかの改良が施されました。また、2005年には新たな装備の追加、2007年には特別仕様モデルの販売が行われるなど、少しずつ進化を続けました。2011年になると、カナダの生産工場が閉鎖され、さらにマーキュリーブランドも廃止されることが決まります。最後の生産車としてグランドマーキー・アルティメート・エディションが完成し、2011年に生産を終了しました。

このように、グランドマーキーはその長い歴史を通じて、多くのユーザーに愛されてきたモデルであり、アメリカの自動車文化を象徴する存在でもありました。

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