マークオブエスティーム

マークオブエスティームは、アイルランドで生まれ、イギリスとUAEで競走生活を送ったサラブレッド競走馬です。ゴドルフィンという、シェイク・モハメドが所有する競走馬の組織の初期を象徴する存在として知られています。

競走馬としてのキャリアは1995年に始まりました。デビュー戦は、後にカルティエ賞最優秀2歳牡馬となるアルハースに敗れましたが、2戦目で初勝利を収めます。しかしその後、故障に見舞われ、これが馬主と調教師との間に大きな軋轢を生むことになります。このトラブルにより、シェイク・モハメドはマークオブエスティームを含む全所有馬をヘンリー・セシル厩舎から引き上げ、サイード・ビン・スルール厩舎へ転厩させるという決断を下しました。

1996年、マークオブエスティームは2000ギニーで復帰を果たし、見事勝利を収めます。これが彼の重賞初制覇であり、しかもG1競走での勝利という華々しいデビューとなりました。続くセントジェームズパレスステークスは、フランス2000ギニー優勝馬アシュカラニ、アイルランド2000ギニー優勝馬スピニングワールドといった強豪が揃う豪華なメンバーが顔を揃えました。しかし、このレースでは伏兵ビジューダンドが優勝し、マークオブエスティームは8着に終わりました。

その後2ヶ月の休養を経て、セレブレーションマイル（イギリスG2）を制覇すると、さらにクイーンエリザベス2世ステークスでも勝利を収めました。このレースには、アシュカラニ、ビジューダンドに加え、サセックスステークス優勝馬ファーストアイランド、ボスラシャムといった強豪が参戦していましたが、マークオブエスティームはそれらを圧倒しての快勝でした。この活躍により、国際的な評価機関では133ポンドから137ポンドという非常に高いレーティングを獲得しました。

次の挑戦として、アメリカ遠征でブリーダーズカップ・マイルに出走。1番人気に支持されましたが、7着に敗れ、このレースをもって競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

引退後は、故郷アイルランドのダルハムホールスタッドで種牡馬となりました。ここで彼は、ダービーステークス優勝馬サーパーシーなど、数々の優秀な競走馬を輩出しました。日本においては、ブルードメアサイアー（母の父）として2010年のNHKマイルカップを日本レコードで制したダノンシャンティを輩出するなど、その遺伝的な才能は日本競馬にも大きな影響を与えました。

主な産駒には、1000ギニー優勝馬アミーラット、ナンソープステークスとスプリントカップを制したリヴェレンス、そしてダービーステークスとデューハーストステークスを制覇したサーパーシーなどがいます。さらに、メトロポリタンハンデキャップを勝ったブリボン、プール・デッセ・デ・プーリッシュとディアヌ賞を制したアヴニールセルタン、高松宮記念優勝馬ファインニードル、プリンスオブウェールズステークス優勝馬クリスタルオーシャン、そして香港ヴァーズ、香港ゴールドカップ、香港チャンピオンズ＆チャターカップを制したエグザルタントといった活躍馬も輩出しました。

マークオブエスティームは、競走馬として、そして種牡馬として、競馬史にその名を刻んだ偉大なサラブレッドと言えるでしょう。彼の血統は、現在も世界中の競馬界で脈々と受け継がれています。

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