マーチ・87G

マーチ・87Gの概要

マーチ・87Gは、日産自動車が開発した1987年モデルのグループCカーで、マーチ・エンジニアリングによって製造されました。このマシンは、3.0LのV型8気筒ツインターボエンジン「VEJ30」を搭載し、その性能は耐久レースの仕様に特化されています。

シャシーとエンジン

1987年、日産は全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権（JSPC）とル・マン24時間レースに参加するため、マーチから3台の87Gシャシーを購入しました。マーチはこの年、日産エンジン以外のシャシーを製造しなかったため、87Gは事実上、日産専用の車両となりました。前年のモデルである86Gと比較すると、87Gはリアのオーバーハングが短縮されているという特徴があります。これにより aerodynamics（空気力学）が向上し、高速走行時の安定性が期待されました。

レースでの活動

87Gは、ホシノレーシングやハセミモータースポーツからエントリーされ、デビュー戦は1987年のJSPC開幕戦鈴鹿500kmでした。ここでは星野一義が予選で2位を獲得しましたが、決勝ではドライブシャフトの破損により、わずか17周でリタイヤという結果になってしまいました。続く富士1000kmでは、長谷見昌弘がポールポジションを獲得しましたが、雨のためにワイパーが動作しないトラブルに見舞われ、またもや出走が遅れ、その後エンジントラブルによりリタイヤとなりました。

ル・マン24時間レース

6月にはル・マン24時間レースが予定されており、このレースに向けてヨーロッパのコースでのテスト走行が行われました。しかし、マシンの熟成は思ったように進まず、エンジントラブルが続出しました。ル・マン決勝では、ドライバー陣が苦労しながらも12時間目には8位に入るなど健闘を見せましたが、最終的にはリタイヤに終わりました。この経験によって日産は、ル・マン挑戦に対してより本腰を入れることを決めました。

成績と問題点

ル・マン以降のJSPCでも成果は振るいませんでした。第4戦の鈴鹿1000kmでの5位が最高成績でしたが、ライバルのトヨタ・87Cがこの年に2勝を挙げる中、明らかな敗北を喫しました。この要因は搭載エンジン「VEJ30」がパワー不足であったことにあります。林義正が後に改良したエンジンは、広告通りの800馬力には遠く及ばない性能を持っていました。星野選手と長谷見選手からも、「VEJ30ではなくVGでのレースを希望する」との声が上がるほどでした。

次世代の開発

この失敗を踏まえ、日産は1988年に87Gのモノコックをベースにした新型車両「R88C」を開発しました。新たに搭載されるのは、VEJ30よりも大幅に改良された「VRH30」エンジンであり、次の挑戦に向けて着実な改善が行われることとなります。

まとめ

マーチ・87Gは、日産にとって多くの教訓をもたらしたモデルであり、その後のモータースポーツ活動においても大きな影響を与えることになりました。単なる失敗ではなく、次世代の進化のための重要なステップだったとも言えます。

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