マーチ・87P

マーチ・87P

マーチ・87Pは、1987年のF1シーズンに投入されたフォーミュラ1カーレース用のマシンで、マーチ・エンジニアリングによって開発されました。このマシンは、フォーミュラ3000カーを元に設計され、F1への再参戦を果たすための暫定解決策として使用されました。具体的には、1987年開幕戦・ブラジルグランプリの予選に出場しましたが、決勝にはエンジントラブルのため出場できなかったという残念な経歴を持ちます。

背景

マーチ・エンジニアリングは1969年に設立され、当初からフォーミュラ1に参加していました。当時、マーチは唯一の市販フォーミュラ1カーメーカーとして、多くのカスタマーチームにマーチ・701やその後継機を提供し、ファクトリーチームとしても活躍していました。しかし、1977年をもってF1から撤退し、その後はフォーミュラ2やフォーミュラ3、さらにフォーミュラ3000に焦点を移していました。

1985年から1986年にかけて、フォーミュラ3000での成功を収めると、再びF1への舞台への選択肢が広がりました。特に、FISAが1986年にターボエンジンを禁止する方針を発表したことで、他のメーカーと同様にF1に戻る決断を下しました。マーチはF1参戦に向けて子会社「マーチ・レーシング」を設立し、主要スポンサーのレイトンハウスからの支援を受けて新たなマシンの開発に取り組みました。

開発

マーチ・87Pは、設計者ゴードン・コパックとそのチームによって開発されました。このマシンは、フォーミュラ3000とF1マシンの要素を統合したデザインであり、シャシーは87Bを基に、ボディとサスペンションは871を採用しています。しかし、F3000のシャシーを使用したため、燃料タンクの容量には制約があり、160リッターとされたため、レース中の給油が禁じられている状況では十分な走行距離を確保できませんでした。

87Pには、ハイニ・マーダーによってチューンされた3.5リッターのコスワース DFZエンジンが搭載され、そのエンジンはカバーなしの状態で使用されました。

レース戦績

87Pはブラジルグランプリにおいて、イヴァン・カペリによってドライブされる運びとなりました。カペリは前年にフォーミュラ3000のタイトルを獲得しており、F1でもTIレルやAGSでの経験がありました。しかし、予選ではカペリは最も遅いタイムを記録し、最下位となってしまいます。結局、予選でDFZエンジンに損傷が発生し、決勝には出場できませんでした。

第2戦からは本格的なマーチ・871が使用され始めますが、87Pはスペアカーとして残されます。第3戦ベルギーGPでは、867に搭載されていたエンジンが壊れ、そのため87Pでカペリが出走しましたが、こちらもエンジンの故障によりリタイアする結果に終わります。87Pはこのレースを最後にF1の舞台から姿を消しました。

F1における全成績

このように、マーチ・87PはF1の歴史において短命ではありましたが、フォーミュラ3000の技術を活かす試みがなされた重要なマシンとして記憶されることになります。

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