マールワール王国

マールワール王国は、現在のインド、ラージャスターン州に位置していたヒンドゥー王朝です。13世紀にラートール氏族によって建国され、その歴史は1947年のインド独立まで続きました。この王国は、その長い歴史の中で、様々な勢力との関係を築き、時に戦い、時に協力しながら、その姿を変えていきました。

ラートール氏族の起源

ラートール氏族は、ラーシュトラクータ朝の後裔を自称しています。ラーシュトラクータ朝の没落後、ラートール氏族は北インドのカナウジに移住しました。1194年、カナウジを支配していたガーハダヴァーラ朝がゴール朝のムハンマド・ゴーリーによって滅ぼされると、ラートール氏族はマンドールに逃れ、そこで勢力を維持しました。ラートール氏族の年代記は、ガーハダヴァーラ朝の最後の王、ジャヤ・チャンドラの孫にまで遡ることができ、このことから、ラートール氏族がガーハダヴァーラ朝の後裔であるという説も存在します。

マールワール王国の成立

13世紀、ラートール氏族はマンドールを首都としてマールワール王国を建国しました。この王国は、その後の数世紀にわたり、ラージャスターン地方における重要な勢力として存続することになります。1459年には、ジョーダー王が自身の名を冠したジョードプルに遷都しました。ジョードプルはその後、マールワール王国の中心都市として発展しました。

ムガル帝国との関係

16世紀、マールワール王国はムガル帝国との関係を深めます。1561年、マールデーヴ王は自身の息子ウダイ・シングをムガル帝国の宮廷に出仕させました。しかし、両者の関係は常に友好的だったわけではありません。1679年には、ジャスワント・シング王の死後、アウラングゼーブ皇帝がその領土の併合を宣言しました。これに対し、ジャスワント・シングの遺児アジート・シングを擁立したドゥルガー・ダースは、メーワール王国と共にムガル帝国に対抗しました（第二次ムガル・ラージプート戦争）。

マラーターの侵略とイギリスの保護下へ

18世紀、アウラングゼーブの死後、マールワール王国はムガル帝国と講和しましたが、今度はマラーターの侵略に直面しました。マールワール王国はシンディア家の支配下に入り、多額の貢納を課せられました。さらに、アジュメールなどの都市も奪われるなど、その勢力は大きく衰退しました。1818年、マーン・シング王はイギリスと軍事保護条約を締結し、イギリスの保護下に入りました。これにより、マールワール王国はジョードプル藩王国として新たな時代を迎えることになりました。

インドへの併合

1947年8月15日、インドとパキスタンが分離独立し、ジョードプル藩王国はインドへと併合されました。その後、ラージャスターン州が編成され、旧マールワール王国の領域はジョードプル州となりました。マールワール王国の歴史は、ラージャスターン地方の歴史、そしてインドの歴史を語る上で、重要な一部分を担っています。その興亡は、様々な勢力との複雑な関係、そして時代の大きな流れの中で翻弄された、一つの王国の物語として、私たちに多くの教訓を与えてくれます。

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