マーンドゥー

マーンドゥーは、インド中央部、マディヤ・プラデーシュ州のダール県に位置する古都です。かつては、この地域に勢力を持ったマールワー・スルターン朝の重要な首都として栄えました。その歴史は、独立を求める動きから始まり、様々な勢力の支配下に入る激動の時代を映し出しています。

15世紀初頭、中央インドの政治情勢が大きく揺れ動く中で、マーンドゥーの歴史は新たな展開を迎えます。1401年にティムールがデリーを占領し、当時の北インドに混乱が広がる中、マールワー地方を統治していたディラーワル・ハーン・ゴールは、デリーの中央政権からの自立を目指しました。その独立運動は成功し、1407年に彼はマールワー・スルターン朝を樹立します。この新しい王朝はマーンドゥーをその首都と定め、都市は政治的、軍事的な中心地としての地位を確立しました。首都としての防衛を固めるため、マーンドゥーには巨大で堅固な城塞が築かれ、外部からの攻撃に対する防御力を高めました。この城塞は、都市の象徴となると同時に、王朝の権力を示すものでもありました。

しかし、マールワー・スルターン朝の繁栄は永遠には続きませんでした。隣接するグジャラート・スルターン朝の勢力が拡大する中、マーンドゥーはその脅威に晒されます。そして、1531年3月28日、グジャラートの君主であったバハードゥル・シャーによってマーンドゥーは攻略され、マールワー・スルターン朝はその幕を閉じました。マーンドゥーはその後、一時的にスール朝の支配下に置かれますが、やがて歴史の表舞台に再び姿を現す人物が現れます。

それはバーズ・バハードゥルでした。彼はマーンドゥーを拠点とし、衰退していたマールワー・スルターン朝を事実上、再興させようと試みました。しかし、この再興も長くは続きませんでした。急速に勢力を拡大していたムガル帝国の軍勢がマーンドゥーに迫り、1561年にはバーズ・バハードゥルはその支配権を失うことになります。これにより、マーンドゥーはムガル帝国の影響下に置かれることとなりました。

さらに時が下り、18世紀になると、インドの政治地図は大きく変化していました。マラーター王国の勢力が強大となり、各地で支配を広げていきます。1732年、マラーター王国の宰相（ペーシュワー）であったバージー・ラーオによって、マーンドゥーは最終的に征服されました。これにより、かつて独立王国の首都として栄華を誇ったマーンドゥーは、マラーターの支配下に入ることとなり、その歴史の新たな一章が開かれました。

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