ミクロ (プロレスラー)

ミクロ

1991年 4月25日生まれ、日本の元女子プロレスラー。本名非公表。

概要

ミクロは、身長142cmという小柄な体格が特徴的な女子プロレスラーでした。デビュー当時のリングネーム「都宮ちい」は、出身地である宇都宮から来た小さい子という意味が込められており、現在の「ミクロ」もその小ささに由来しています。かつては女子プロレス界で最も小柄な選手として知られましたが、後にさらに身長の低い選手が登場し、その記録は更新されました。試合では、体格的な不利を補うため、練習量に裏打ちされた技術と巧みな戦術を駆使しました。

人物像と「腹黒キャラ」

リングを離れると、ミクロは多趣味な人物として知られています。特にアキバ系文化への造詣が深く、アニメ作品のコスプレやコミックマーケットへの参加を楽しみました。「To Heart」などの作品のコスプレを披露したり、東方Projectやウサビッチといった人気コンテンツのグッズ収集に熱心でした。イラストも得意で、かつて出演したテレビ番組のオープニングイラストを担当したこともあります。また、プロレス仲間を巻き込み、「踊ってみた部」というサークルを結成するなど、その行動力もユニークです。さらに、ミリタリー系のプラモデル製作も趣味の一つであり、専門誌に自身のコーナーを持つなど、幅広い分野に興味を持ち、活動していました。

ミクロのリング上での大きな特徴として、「腹黒い」キャラクターが挙げられます。これは、アイスリボン時代の仲間であるさくらえみやGENTAROから指摘されたことがきっかけでした。当初は否定していましたが、次第にキャラクターとして受け入れ、コスチュームもイメージチェンジして「腹黒キャラ」を前面に出すようになりました。試合では、だまし討ちやボディブロー、さらにはレフェリーや対戦相手を金銭で買収しようとするなど、ユニークで時にヒール的な戦術を用いて観客を沸かせました。

経歴と戦績

ミクロは、実話誌で真琴のインタビュー記事を読んだことがきっかけでアイスリボンの存在を知り、プロレスラーを志しました。2008年9月に上京し、さくらえみの家に身を寄せた後、同年10月18日に新木場1stRING大会で「都宮ちい」としてデビューしました。デビュー後、アイスリボンを中心に活動し、2009年3月にはアイアンマンヘビーメタル級王座を獲得し、自身初のタイトルを手にしました。また、りほ（現：里歩）とは「ミニチュアダックス」というタッグチームを結成しました。2010年には木高イサミと組んでインターナショナルリボンタッグ王座を奪取するなど、タイトル戦線でも活躍しました。2011年には、19時女子プロレス認定インターネットシングル王座を獲得し、第3代王者となっています。

アイスリボン退団後は、プロフェッショナルレスリング・ワラビーに移籍しますが、短期間で解雇されるという出来事もありました。その後はフリーランスとして活動し、REINA×WORLD参戦時には覆面レスラー「ミニ・トマト」としても登場しました。2013年には世界プロレス協会設立に参加し、「AKUBI」の名義で試合を行いますが、後に退団。以降は再びフリーとして、ガッツワールドプロレスリングを中心に活動しました。2015年に一度休業を発表しますが、2016年にガッツワールド後楽園ホール大会で復帰を果たしました。しかし、2017年8月の試合を最後に欠場状態となり、同年11月にはSNS上でプロレスに関する発信を止める意向を示し、公式な引退発表はありませんでしたが、事実上の現役引退となりました。

プロレススタイルと得意技

ミクロのプロレススタイルは、小柄な体格をカバーするための工夫と戦術に富んでいました。豊富な練習量で基礎技術を高めつつ、相手の虚を突くような奇襲や心理戦、そして前述の「腹黒い」側面を活かした買収行為など、多様な引き出しを持っていました。男子選手との対戦など、変則的な試合形式にも対応できる順応性も持ち合わせていました。そのプロレスに対する真摯な姿勢と、キャラクター性を活かしたファイトで、会場のファンからは高い人気を得ていました。

主な得意技には、相手の足元を狙う低空ドロップキック、遠距離からのミサイルキック、スモールパッケージホールドやオクラホマロールといった丸め込み技などがあります。特にウラカンラナは、当初は使用を制限されていましたが、後に自身のフィニッシュホールドの一つとなりました。また、ダウンした相手への連続フットスタンプやセントーン、そして相手の耳元で大声を発する「絶叫」など、体格差を補うための独自の攻撃も繰り出しました。「絶叫」は、練習で鍛えられない耳へのダメージを狙ったある種の「凶器攻撃」として機能することもあり、拡声器を用いたこともあります。フィニッシュホールドとして使用されたジャングルクラッチは、独特な体勢からの丸め込み技で、命名にまつわるエピソードも知られています。腹黒キャラに関連して、ボディブローや金銭買収といった行為も、彼女の戦術の一部として認識されていました。

ミクロは、その小柄な体格とユニークなキャラクター、そして真摯なプロレスへの取り組みで、短いながらも印象的なキャリアを築いた選手でした。多様なサブカルチャーへの関心や、リング上での予測不能な行動は、多くのファンに鮮烈な印象を残しています。

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