ミシガン (戦艦)

アメリカ海軍戦艦ミシガン（USS Michigan, BB-27）

ミシガンは、アメリカ海軍が建造したサウスカロライナ級戦艦の2番艦です。艦名はアメリカ合衆国26番目の州、ミシガン州に由来し、同名の艦としては2隻目となります。

特筆すべきは、一番艦のサウスカロライナよりも早く完成したため、本級は「ミシガン級」とも呼ばれることがある点です。これは、ミシガンがアメリカ海軍の戦艦設計における重要な転換点を示していることを意味します。

艦歴

ミシガンは1906年12月17日にニュージャージー州カムデンのニューヨーク造船所で起工されました。1908年5月26日には、F・W・ブルックス夫人（海軍長官トルーマン・ニューベリの娘）によって進水し、1910年1月4日に初代艦長N・R・アッシャー大佐の指揮下で就役しました。

就役後、ミシガンは大西洋艦隊に配属され、1910年6月7日まで東海岸沖およびカリブ海東方で整調を行いました。その後、7月29日にニューヨーク湾を出航し、ニューイングランドおよび大西洋岸中央部に沿って活動しました。11月2日にはボストンを出航し、西ヨーロッパへの訓練巡航に向かいました。

イギリスのポートランドを訪問後、12月8日にはフランスのシェルブールに到着。12月30日にはカリブ海へ向けて出航し、1911年1月10日にキューバのグアンタナモ湾に寄港、1月14日にバージニア州ノーフォークに到着しました。

その後もミシガンは大西洋岸沿いを活動し、1912年11月15日にはバージニア岬を離れ、メキシコ湾へ巡航しました。フロリダ州ペンサコーラ、ルイジアナ州ニューオーリンズ、テキサス州ガルベストンを訪問後、12月12日にはメキシコのベラクルスに到着しました。その2日後には母港へ向かい、12月20日にハンプトン・ローズに帰還しました。

1913年7月6日には、マサチューセッツ州クインシーからメキシコ湾へ向かい、7月15日にタンピコに停泊。メキシコでの政情不安に対応し、アメリカ市民を保護するために待機しました。1914年1月13日にはニューヨークに向けてメキシコ水域を離れ、1月20日にブルックリン海軍工廠に到着しました。

1914年2月14日にはノーフォークからキューバのグアカナヤボ湾へ向けて出航、3月19日にはハンプトン・ローズに帰還しました。4月16日には再びメキシコへ向けて出航し、4月22日にベラクルスに到着。ミシガンは占領部隊の主力となる海兵隊員を上陸させ、その後は沖合で活動し、6月20日に帰還しました。

1914年10月11日には再び出航し、東海岸の様々な港を訪れました。

第一次世界大戦

1917年4月6日、アメリカ合衆国が第一次世界大戦に参戦すると、ミシガンは第2戦艦部隊に配属され、船団護衛、新兵訓練、艦隊作戦および演習に従事しました。

1918年1月15日、荒天下でのハッテラス岬沖における艦隊行動中、ミシガンは急な荒波に大きく傾斜し、前檣部分が曲がって左舷側に吹き飛ぶという事故に見舞われました。この事故で6名が死亡し、13名が負傷。負傷者のうち5名は重傷でした。この事故の遠因には、1916年の主砲腔発事故による損傷があったとされています。

この事故をきっかけに、アメリカ海軍は籠マストの構造を見直し、既存艦はマスト構造を強化。後の近代化の際に籠マストを廃止し、条約開け戦艦も籠マストは不採用となりました。

ミシガンは翌日ノーフォークに帰還し、死傷者をソレースに移乗させました。1月22日には修理のためフィラデルフィア海軍造船所に入渠。修理完了後、4月初めには東海岸沖での作戦活動を再開し、第一次世界大戦が終結するまでチェサピーク湾で砲術訓練に従事しました。

1918年12月後半には帰還兵の輸送任務が命じられ、ミシガンは1月18日から3月3日、そして3月18日から4月16日の2度にわたりヨーロッパ航海を行い、合計1,052名の帰還兵を帰国させました。

戦後

戦後はフィラデルフィアでオーバーホールを行い、大西洋での訓練を再開しました。1919年5月19日にはメリーランド州アナポリスに向けて出航し、海軍兵学校生を乗艦させた後、パナマ運河を通過しハワイ州ホノルルへの訓練巡航を行いました。ホノルルには7月3日に到着し、続いて西海岸の海軍基地およびグアンタナモ湾を訪れ、9月5日にフィラデルフィアに帰港しました。

その後は1921年4月4日までカリブ海での定期的な巡航を行い、4月23日にはハンプトン・ローズに向かいました。5月18日には再びアナポリスに到着し、海軍兵学校生を乗艦させると6月4日に2度目のヨーロッパ巡航に出発。ノルウェーのクリスチャニア、ポルトガルのリスボン、ジブラルタルを訪れた後、グアンタナモ湾経由で8月11日にハンプトン・ローズに帰還しました。

ミシガンは8月31日に最後の航海に出航し、デラウェア川をフィラデルフィアに向けて巡航し、9月1日に到着しました。1922年2月11日にはフィラデルフィア海軍造船所で退役し、1923年11月10日に除籍されました。その後、ワシントン海軍軍縮条約に従い、他の4隻の戦艦とともにフィラデルフィア海軍造船所で1924年中に武装が撤去されました。残りの船体部分は4つの異なる鉄鋼会社に売却されました。

「ミシガン式」砲塔配置

ミシガンの特徴として、4基の主砲塔を前後に2基ずつ背負い式に配置したことが挙げられます。この配置は、全周への火力発揮の面で効率的であり、これ以降、アメリカだけでなく他国の多数の戦艦にも採用されました。この砲塔配置は「ミシガン式」と呼ばれています。

まとめ

ミシガンは、その生涯を通して、アメリカ海軍の発展に大きく貢献しました。技術的には「ミシガン式」砲塔配置という画期的な設計を生み出し、実戦では第一次世界大戦において重要な役割を果たしました。退役後も、その名はアメリカ海軍史に深く刻まれています。

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ミシガン (戦艦)に関するメディアがあります。)
US Navy Historical Center USS Michigan gallery
* Maritimequest USS Michigan BB-27 Photo Gallery

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