ミズオトギリ

ミズオトギリ（水弟切、学名：Triadenum japonicum）は、オトギリソウ科ミズオトギリ属に分類される多年草です。湿地や沼地に生育し、その独特な姿で自然愛好家を魅了します。

特徴

ミズオトギリは、地下茎を地中に伸ばして繁殖します。地下茎は帯紅色で、匍匐しながら分枝し、新たな芽を出します。地上に伸びる茎は直立し、円柱形で、高さは50cmから100cm程度まで成長します。茎は赤紫色を帯びることが多く、その色彩が特徴的です。

葉は対生で、披針状長楕円形をしており、長さは3cmから7cm、幅は1cmから3cm程度です。葉の先端は鈍く尖り、葉柄はなく、多少茎を抱くように付きます。葉の縁は滑らかで全縁です。葉の色は白みを帯びた緑色で、光にかざすと明るい油点が散在しているのが見えます。

開花時期は8月から9月で、茎の先端や各葉の付け根から短い柄のある花序を出し、その先に数個の花を咲かせます。花は淡紅色で、直径約1cmと小さく、午後に開き、夕方にはしぼんでしまうという特徴があります。萼片は5個で、卵状楕円形をしており、赤褐色を帯び、縦脈が目立ちます。花弁も5個で、瓦のように重なり合い、長楕円形で長さは約5mmです。

雄蕊は3束に分かれて9個あり、雄蕊の束の基部には3個の腺体があります。花柱は3個で、それぞれ離れており、互いに寄り合って直立します。果実は蒴果で、楕円状球形をしており、長さは10mm程度です。種子は黒褐色で、円みを帯びた楕円形をしており、長さは1mm程度で、表面には隆起した網目模様があります。葉は秋になると美しく紅葉します。

分布と生育環境

ミズオトギリは、日本では北海道から九州にかけて広く分布しており、湿地や沼地のような湿った環境を好みます。世界的には、朝鮮半島、中国東北部、アムール地方にも分布しています。

ギャラリー

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脚注

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参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II離弁花類』、1982年、平凡社
林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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