ミズキ属

ミズキ属（Cornus）について

ミズキ属（Cornus）は、ミズキ科に属する植物のグループで、約40種前後の高木、低木、そして一部の多年草を含みます。これらの植物は、その美しい花や実、そして多様な形態で知られています。

形態と生態

ミズキ属の花は、子房下位で4数性を示すのが特徴です。花は集散花序または頭状花序を形成し、多くの場合、基部に4〜6枚の総苞片を持ちます。これらの総苞片は、花を保護する役割を果たし、特にハナミズキのように観賞価値の高い種では、美しい白色や紅色の苞が特徴的です。果実は核果または複合果で、成熟すると赤、白、黒など、種によってさまざまな色になります。

分布

ミズキ属は、主に北米と東アジアを中心に、北半球の温帯から亜寒帯にかけて広く分布しています。日本には、ミズキ、クマノミズキ、ヤマボウシ、ゴゼンタチバナ、エゾゴゼンタチバナの5種が自生しており、これらの種は日本の自然環境において重要な役割を果たしています。

人間との関わり

ミズキ属の植物は、その美しい花や実のため、観賞用として広く栽培されています。特に、白色または紅色の目立つ総苞を持つハナミズキやヤマボウシは、庭木や公園樹として人気があります。また、サンシュユ亜属とヤマボウシ亜属の果実は食用とされますが、ミズキ亜属の果実にはわずかに毒性があるため、注意が必要です。

分類

ミズキ属は、以下の4つの亜属に分類されることが一般的です。しかし、これらの亜属をそれぞれ別の属として扱うこともあります。

サンシュユ亜属（Cornus）

花は白色または黄色で、集散花序をなし、基部に小さな総苞があります。
Cornus chinensis - 中国に分布。
Cornus mas - 地中海地方に分布するセイヨウサンシュユ。
Cornus officinalis - 中国や朝鮮に分布するサンシュユ。
Cornus sessilis - カリフォルニアに分布。

ミズキ亜属（Swida）

集散花序を持ち、総苞はありません。20〜30種が存在します。
Cornus alba（シラタマミズキ）- シベリアや華北に分布。変種にはサンゴミズキがあります。
Cornus alternifolia - 北米東部に分布。
Cornus amomum - 北米東部に分布。
Cornus asperifolia
Cornus austrosinensis - 華南に分布。
Cornus bretschneideri - 華北に分布。
Cornus controversa（ミズキ） - 日本や東アジアに分布。
Cornus coreana（チョウセンミズキ） - 北東アジアに分布。
Cornus drummondii - 北米中部に分布。
Cornus foemina - 北米南東部に分布。
Cornus glabrata - 北米西部に分布。
Cornus hemsleyi - 中国南西部に分布。
Cornus koehneana - 中国南西部に分布。
Cornus macrophylla（クマノミズキ） - 日本や東アジアに分布。
Cornus obliqua - 北米東部に分布。
Cornus paucinervis - 中国に分布。
Cornus racemosa - 北米東部に分布。
Cornus rugosa - 北米東部に分布。
Cornus sanguinea - ヨーロッパに分布。
Cornus sericea - 北米北部に分布。
Cornus stricta - 北米南東部に分布。
Cornus walteri - 中国に分布。
Cornus wilsoniana - 中国に分布。

ゴゼンタチバナ亜属（Chamaepericlymenum）

小低木または多年草で、茎は地面を這います。頭状花序で目立つ総苞があり、果実は赤く熟します。
Cornus canadensis（ゴゼンタチバナ） - 日本、東アジア北部、シベリア東部、北米北部に分布。
Cornus suecica（エゾゴゼンタチバナ） - 日本、ユーラシア北部、北米北部の一部に分布。
Cornus × unalaschkensis - 上記2種の雑種。アリューシャン、グリーンランド、ラブラドルに分布。

ヤマボウシ亜属（Benthamidia, Dendrobenthamia または Cynoxylon）

頭状花序で、目立つ総苞があり、果実は赤色または橙色に熟します。5種あり、核果のなる Benthamidia と、複合果になる Dendrobenthamia に細分することもあります。
Cornus capitata - ヒマラヤに分布。
Cornus florida（ハナミズキ） - 北米東部に分布。
Cornus hongkongensis - 華南や東南アジアに分布。
Cornus kousa（ヤマボウシ） - 日本や東アジアに分布。
Cornus nuttallii* - 北米西部に分布。


ミズキ属は、その多様な形態と生態から、植物学的な興味深い対象であるとともに、私たちの生活にも深く関わっています。観賞用としての利用はもちろん、生態系においても重要な役割を果たしており、その存在は貴重です。

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