ミズキ科

ミズキ科(Cornaceae)は、世界的に知られる被子植物の科です。ミズキ、ハナミズキといった私たちにも馴染み深い植物を含む、多様な種から構成されています。樹木の種類も豊富で、高木から低木、そして一部には多年草の姿も見られます。

ミズキ科植物の花は、独特の構造をしています。子房下位、つまり子房が花びらの付け根よりも下に位置しているのが特徴です。さらに、萼は子房と合着しており、花弁は通常3枚から5枚あります。ハナミズキのように、小さな花が集まって頭状花序を形成し、それがさらに大きな総苞（そうほう）と呼ばれる葉のような構造に包まれることで、あたかも一つの大きな花のように見える種もあります。これは、昆虫を効率的に誘引するための巧妙な戦略と考えられています。

これらの植物の分布域は、主に北半球の温帯地域に集中しています。しかし、一部の種は熱帯や南半球にも見られます。これは、ミズキ科植物が様々な環境に適応してきたことを示しています。

ミズキ科の分類は、植物分類学の進歩に伴って変化してきました。APG III (2009) 分類体系では、以前は独立した科とされていたヌマミズキ科(Nyssaceae)がミズキ科に統合され、その範囲はさらに広がりました。

APG III体系に基づくと、ミズキ科には以下の属が含まれます。ミズキ亜科(Cornoideae)には、ウリノキ属(Alangium)、ミズキ属(Cornus s.l.)、ヤマボウシ属(Benthamidia)、ゴゼンタチバナ属(Chamaepericlymenum)、サンシュユ属(Cornus s.s.)、ミズキ属(Swida)などが含まれ、ミズキ属に関しては、さらに4つの亜属に細分される場合もあります。ヌマミズキ亜科(Nyssoideae)には、カンレンボク属(Camptotheca)、ハンカチノキ属(Davidia)、Diplopanax、Mastixia、ヌマミズキ属(Nyssa)などが含まれます。

一方、以前の分類体系、例えば[クロンキスト体系]では、ミズキ科に含まれていたものの、APG III体系では他の科に分類された属もあります。具体的には、アオキ属(Aucuba)はガリア科(Garryaceae)、CorokiaはEscalloniaceae、CurtisiaはCurtisiaceae、GriseliniaはGriseliniaceae、ハナイカダ属(Helwingia)はハナイカダ科(Helwingiaceae)、トリケリア属(Torircellia)はトリケリア科(Torricelliaceae)、カリフォラ属(Kaliphora)はモンチニア科(Montiniaceae)にそれぞれ分類されています。これらの変更は、分子系統解析などの新しい技術に基づいた分類体系の反映であり、植物分類学における継続的な研究の成果を示しています。

このように、ミズキ科は一見すると単純な科のように見えるかもしれませんが、その分類は複雑で、長年にわたる研究の積み重ねによって徐々に明らかになってきています。それぞれの属が持つ形態的特徴、生息環境、そして進化の歴史を探ることで、植物の世界の多様性と複雑さをより深く理解することができるでしょう。

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