ミズーリ (戦艦)

戦艦ミズーリ（USS Missouri, BB-63）

ミズーリは、アメリカ海軍が建造したアイオワ級戦艦の3番艦です。艦名は、ハリー・S・トルーマン副大統領（当時）の出身地であるミズーリ州に由来します。愛称は「Mighty Mo（マイティ・モー）」または「Big Mo（ビッグ・モー）」。

概要

ミズーリは、太平洋戦争における日本の降伏文書調印式が艦上で行われたことで、その名を知られています。第二次世界大戦後も朝鮮戦争、湾岸戦争に参加し、1992年に退役しました。現在は、ハワイ州真珠湾で記念艦として保存公開されており、映画にも度々登場するなど、高い人気を誇っています。

艦歴

1940年6月12日に建造発注、1941年1月6日にニューヨーク海軍工廠で起工され、1944年1月29日にハリー・S・トルーマン上院議員の娘、メアリー・マーガレット・トルーマンによって命名・進水しました。同年6月11日に、アメリカ海軍最後の戦艦としてウィリアム・M・キャラハン大佐の指揮下で就役しました。

第二次世界大戦

1944年12月24日に真珠湾に到着後、第58任務部隊に編入され、1945年2月には日本本土空襲の支援、硫黄島上陸作戦の支援砲撃に参加しました。3月には沖縄攻略作戦に参加し、4月11日には特攻機の攻撃を受けましたが、軽微な損傷で済みました。

特攻機の操縦員は、第二建武隊の石野節雄二等兵曹（または石井兼吉二等兵曹）であり、キャラハン艦長の指示により、その操縦員は水葬されました。

5月には沖縄沖で5機の敵機を撃墜、6機の破壊を支援するなどの戦果を挙げました。その後、第3艦隊旗艦となり、7月には日本本土に対する艦砲射撃を実施。室蘭や日立などを攻撃しました。

降伏文書調印式

1945年9月2日、東京湾に停泊中のミズーリ艦上で、日本の降伏文書調印式が行われました。連合国を代表してダグラス・マッカーサー元帥が、日本側全権代表として重光葵外務大臣が署名しました。この調印式には、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、中華民国、カナダ、ソビエト連邦、オーストラリア、ニュージーランドの代表が参加しました。

戦後

第二次世界大戦終結後、ミズーリはトルコの駐米大使の遺体をトルコへ輸送する任務や、ギリシャ、トルコを訪問し両国を勇気づけるなどの活動を行いました。その後も大西洋艦隊の演習に参加し、1947年にはリオデジャネイロで開催された米州大陸間会議に参加しました。

朝鮮戦争

1950年に勃発した朝鮮戦争では、国連軍を支援するため朝鮮半島に派遣され、仁川上陸作戦の支援や、清津、元山などに対する艦砲射撃を行いました。1953年4月には第7艦隊旗艦任務をニュージャージーと交代し、5月にノーフォークに帰還しました。

退役と再就役

1955年2月26日に退役し、ブレマートンの太平洋予備役艦隊入りしました。その後、1984年に再就役が決定し、1986年5月10日にサンフランシスコで再就役を果たしました。近代化改修により、トマホーク巡航ミサイルやハープーン対艦ミサイル、ファランクスCIWSなどが搭載されました。

湾岸戦争

1991年の湾岸戦争では、ペルシャ湾に展開し、イラクに対するトマホーク巡航ミサイルの発射や、艦砲射撃を行いました。2月には、イラク軍のシルクワーム・ミサイル攻撃を受けましたが、イギリス海軍の駆逐艦グロスターがシーダート・ミサイルで迎撃に成功しました。

退役、そして記念艦へ

1992年3月31日にロングビーチで退役し、その歴史に幕を下ろしました。その後、1998年に戦艦ミズーリ記念協会に寄贈され、1999年1月29日から真珠湾で博物館として公開されています。

現在の状態

現在は、真珠湾のアリゾナ記念館近くに係留され、一般公開されています。艦上では、降伏文書調印式の様子を再現した展示や、特攻機の攻撃を受けた跡などを見ることができます。また、深部探検ツアーでは、機関室や射撃指令所などの普段見ることができない場所も見学可能です。

ミズーリは、アメリカ海軍の歴史を象徴する戦艦として、多くの人々に親しまれています。

登場作品

沈黙の戦艦
パール・ハーバー (映画)
* バトルシップ (映画)

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