ミゾソバ

ミゾソバ（溝蕎麦）について

ミゾソバは、タデ科タデ属またはイヌタデ属に分類される一年生草本植物です。学名は Polygonum thunbergii または Persicaria thunbergii といい、別名として、花の形が金平糖に似ていることから「コンペイトウグサ」、葉の形が牛の頭に似ていることから「ウシノヒタイ」とも呼ばれます。中国名は「戟葉蓼」です。

分布

ミゾソバは、東アジア（日本、朝鮮半島、中国）に分布しています。日本では、北海道から九州まで広く見られ、山地の小川沿いや沼沢地、湿地、水田、畦、湖岸などに自生します。特に、稲作地帯などでは、コンクリート護岸化されていない用水路脇など、水が豊かで栄養価の高い場所に群生することが多いです。かつては、日本各地の水田で見られ、土盛りの溝や用水路、小川の縁に普通に生えていました。その見た目が蕎麦に似ていることが和名の由来となっています。

特徴

ミゾソバは、一年生の草本で、水辺などで30cmから80cmほどに生長します。根元で枝分かれして地面を這って群生し、匍匐茎に閉鎖花をつけて種子を稔らせることもあります。茎には下向きの細かい刺が多数生えており、他の植物に絡みついて伸びることがあります。葉は互生し、その形が牛の額にも見えることから「ウシノヒタイ」と呼ばれることもあります。花期は晩夏から秋にかけて（7月から10月）で、茎の先端で枝分かれした先に、直径4mmから7mmほどの、根元が白く先端が薄紅色の多数の花を咲かせます。タデ科植物の特徴として、花弁に見える部分は萼です。

利用

ミゾソバは、開花前の若芽、若葉、つぼみや若い花を食用にできます。採取時期は、新芽と茎葉が4月から6月ごろ、つぼみと花が7月から9月ごろです。味は穏やかな酸味と甘みがあり、若芽と若葉は天ぷらにして楽しむことができます。アクが強いため、下ごしらえとしてアク抜きが必要で、芽と葉は塩を入れた熱湯で茹でて水にさらし、花は酢を入れた熱湯でさっと茹でます。下ごしらえした若芽や若葉は、おひたし、ごま和え、油炒め、佃煮などに、花は酢味噌和え、辛子和え、ドレッシング和え、サラダのトッピングとして利用できます。ただし、花やつぼみにはシュウ酸が多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。

また、ミゾソバは、著名な民間薬である石田散薬の原料としても使われていました。石田散薬の製造元では、ミゾソバのことを「牛革草」と呼んでいたそうです。これは「牛額」から転じたものと考えられます。

変種

ミゾソバには、地中茎を形成して閉鎖花をつける変種として、オオミゾソバというものがあります。

ミゾソバ P. thunbergii var. thunbergii
オオミゾソバ P. thunbergii var. stolonifera (F.Schmidt) Nakai ex H.Hara

参考文献

篠原準八『食べごろ 摘み草図鑑：採取時期・採取部位・調理方法がわかる』講談社、2008年10月8日、128頁。ISBN 978-4-06-214355-4。

外部リンク

ミゾソバ - コトバンク

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