ミッドナイトムービー (映画)

『ミッドナイトムービー』（英題：Midnight Movies: From the Margin to the Mainstream）は、2005年にカナダで制作されたドキュメンタリー映画です。この作品は、1960年代後半から1970年代にかけて、深夜上映（ミッドナイト上映）の枠で熱狂的な支持を集めた、いわゆる「カルト映画」と呼ばれるジャンルに焦点を当てています。

映画では、「ミッドナイトムービー」と総称される6つの代表的な作品を取り上げ、それぞれの監督や関係者が、当時の制作状況や映画が社会に与えた影響について証言します。彼らの言葉を通して、これらの作品がどのようにして誕生し、観客を魅了し、その後の映画界にどのような足跡を残したのかが明らかになります。

取り上げられている作品は以下の通りです。

『エル・トポ』：アレハンドロ・ホドロフスキー監督による、カルト映画の代表格とも言える異色作。独特な映像表現と哲学的なテーマが特徴です。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』：ジョージ・A・ロメロ監督による、ゾンビ映画の原点。低予算ながらも社会風刺を盛り込んだ恐怖描写が話題を呼びました。
『ピンク・フラミンゴ』：ジョン・ウォーターズ監督による、過激な内容で物議を醸したカルトコメディ。タブーを恐れない表現が、一部の観客から熱狂的な支持を得ました。
『ハーダー・ゼイ・カム』：ペリー・ヘンゼル監督による、ジャマイカを舞台にしたクライムドラマ。レゲエ音楽が効果的に使用され、音楽と映像が融合した斬新な作品として知られています。
『ロッキー・ホラー・ショー』：リチャード・オブライエン脚本・出演による、ミュージカル映画。観客参加型の応援上映が世界中で人気を博し、現在も多くのファンに愛されています。
『イレイザーヘッド』：デヴィッド・リンチ監督による、不気味な雰囲気が漂うシュールレアリズム作品。独特な世界観は、多くの観客を魅了すると同時に、理解し難いものとして議論を呼びました。

映画には、上記の作品監督に加え、エルジン劇場の支配人ベン・バレンホルツ、アラン・ダグラスなど、当時の関係者が多数出演します。また、ストックフッテージやストック写真という形で、ジョン・レノン、オノ・ヨーコといった著名人も登場します。出演者たちは、当時の映画制作の裏側や、深夜上映という特殊な環境下での観客の反応、そしてカルト映画が社会に与えた影響について、貴重な証言を繰り広げます。

『ミッドナイトムービー』は、単なるドキュメンタリー映画としてだけでなく、映画史におけるカルト映画の重要性や、深夜上映という文化がどのように発展してきたのかを考察する上で、非常に重要な作品と言えるでしょう。これらの作品が、後の映画監督や映画ファンに大きな影響を与え、映画の多様性を広げる上で重要な役割を果たしたことを示唆しています。また、この作品を通じて、過去の映画作品だけでなく、現代の映画文化についても深く考えるきっかけを与えてくれます。

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