ミャンマーの政党

ミャンマーの政党

ミャンマー（旧ビルマ）における政党制度は、その長い歴史の中で大きく形を変えてきました。建国当初は議会制民主主義の下で多様な政党が活動しましたが、軍事クーデターとその後の統治によって、政党のあり方は幾度も変化を遂げています。

歴史的変遷

ミャンマーが独立を達成し、初代憲法が制定された当初は、議会制民主主義に基づく複数政党制が採用されていました。この時代には、反ファシスト人民自由連盟（AFPFL）をはじめとする様々な政党が存在し、活発な政治活動が行われていました。しかし、国内情勢の混乱を背景に、1962年にネ・ウィン将軍によるクーデターが発生すると、それまで活動していた全ての政党は解散を命じられ、複数政党制は終焉を迎えます。

1974年から1988年にかけては、第二代憲法の下でビルマ社会主義計画党（BSPP）による一党独裁体制が確立されました。この期間、BSPP以外の政党を結成したり活動したりすることは法的に認められず、政治的な多様性は失われました。しかし、1988年に国民が起こした全国規模の民主化要求運動、通称「8888蜂起」は、この強固な一党支配体制を揺るがしました。蜂起の結果、BSPPは解散に追い込まれ、一党独裁体制は崩壊。政党を結成する自由（結社の自由）が再び認められることとなりました。

8888蜂起を受けて成立した軍事政権（後に国家平和発展評議会、SPDCとなる）は、国民に対して複数政党制の下での選挙実施を約束しました。これにより、1990年の総選挙に向けて200以上の政党が新たに結成されるなど、活発な動きが見られました。総選挙では、国民民主連盟（NLD）が議会の過半数を制する圧勝を収めました。しかし、軍政は選挙結果を尊重せず、議会の招集を拒否。さらに民主化勢力への弾圧を強めたため、選挙で当選した一部の議員は国外への亡命を余儀なくされました。以後、軍政下では事実上議会が機能することなく、ミャンマーにおける政党活動は長らく停滞を続けることになります。

状況が変化したのは、2008年にSPDCが制定した第三代憲法の草案が国民投票で承認された後のことです。この新憲法に基づき、2010年11月には総選挙が実施されました。そして、2011年3月に総選挙の結果を受けた民政が正式に発足したことにより、ミャンマーでは再び議会制民主主義と複数政党制が復活し、国民の結社の自由も認められるようになりました。

現在議会に議席を有する主な政党（2015年時点の情報に基づく）

2015年の総選挙以降、連邦議会や地方議会に議席を持つ主要な政党には以下のようなものがあります。

連邦団結発展党（USDP）: 過去の軍政（SPDC）の政治組織であった連邦団結発展協会（USDA）を前身とする政党です。
シャン民族民主戦線（SNLD）: シャン州を拠点とする民族政党の一つです。
国民民主連盟（NLD）: 長らく最大の民主派政党として活動し、2010年の一時期解散しましたが、2011年に再登録されました。
国民民主勢力（NDF）: 2010年の総選挙参加を巡って国民民主連盟から分かれたグループによって結成された政党です。
* 国民統一党（NUP）: かつての一党独裁政党であるビルマ社会主義計画党（BSPP）の後継政党とされています。

これらの政党は、ミャンマーの複雑な政治状況の中でそれぞれの立場から活動を展開しており、複数政党制の下での政治が続けられています。

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