ミラー・ミラー (10ccのアルバム)

ミラー・ミラー

『ミラー・ミラー』（Mirror Mirror）は、イギリス出身のロックバンド、10ccが1995年に発表したスタジオ・アルバムで、グループにとって通算11枚目、そして再結成後の活動としては2作目にあたります。このアルバムは、特に日本で他国に先駆けてリリースされました。

制作背景

再結成10ccの中心メンバーは、エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンでした。しかし、本作の制作は通常の手法とは異なり、収録された楽曲の大部分は、スチュワートまたはグールドマンのどちらかが主導してレコーディングを進めるという形で完成されました。これは、彼らそれぞれのソロプロジェクトに近い色彩を帯びた制作体制と言えます。共作名義の楽曲であっても、レコーディング時には片方のメンバーが不在であったケースも存在します。

過去の代表曲である「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、旧音源を再利用した「リワーク・オブ・アート・ミックス」として収められており、このバージョンにはオリジナルの4人のメンバー全員がクレジットされています。しかし、これはあくまで過去の録音素材を用いたためであり、初期メンバーであるケヴィン・ゴドレイとロル・クレームが本作のために新たにレコーディングに参加したわけではありません。ただし、同曲のアコースティック・バージョンは、スチュワートとグールドマンの二人の手によって新たに録音されました。

アルバムには、かつてスチュワートがソングライティングで協力したポール・マッカートニーのアルバム『プレス・トゥ・プレイ』（1986年）の制作過程で生まれた未発表音源が2曲含まれており、「沈黙の法則」と「イヴォンヌこそ我が本命」として収録されています。これらの楽曲では、マッカートニー自身もミュージシャンとして名を連ねています。また、長年にわたりグールドマンと共同作業を行ってきたシンガーソングライターのアンドリュー・ゴールドも、一部の楽曲でボーカルやギターを担当しています。

アルバムのジャケットデザインは、著名なアート集団ヒプノシスの創設者の一人であるストーム・トーガソンとポール・カーゾンが共同で手がけました。

『ミラー・ミラー』のリリースに伴うプロモーション活動やツアーを終えた後、エリック・スチュワートは10ccから離れることとなり、これが事実上、この時期の10ccの活動に一区切りをつける出来事となりました。

反響と評価

本作は、母国イギリスでの商業的な成功には恵まれず、全英アルバムチャートにランクインすることはありませんでした。しかし、アルバムからのシングルカットである「アイム・ノット・イン・ラヴ（アコースティック・セッション'95）」は全英シングルチャートで最高29位を記録しました。

一方、日本では比較的好調なセールスを示し、オリコンチャートでは4週間にわたりトップ100圏内にとどまり、最高位は47位でした。

音楽批評家のRoch Parisienは、音楽サイトAllMusicにて本作に5点満点中3点を与えました。彼は、新曲の中にも楽しめる瞬間が存在することを認めつつも、かつての10ccを特徴づけていたような詩的な機知や革新性よりも、過去の音楽スタイルをなぞる傾向が目立つと評しています。

収録曲

各国盤で収録順や楽曲が若干異なります。以下は日本盤CDの収録曲リストです。

1. アイム・ノット・イン・ラヴ（リワーク・オブ・アート・ミックス）
2. 平和への道のり
3. 沈黙の法則
4. テイク・ディス・ウーマン!
5. イヴォンヌこそ我が本命
6. 猿と玉葱
7. マーゴにはとびっきり辛いマスタードを
8. 長い家路
9. 人生の転機がやってきた
10. ブルー・バード
11. エイジ・オブ・コンセント
12. グロウ・オールド・ウィズ・ミー
13. 恋の特効薬
14. 最後の決心
15. アイム・ノット・イン・ラヴ（アコースティック・セッション'95）

（注：特記なき楽曲はエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの共作）

参加ミュージシャン

主要な演奏者として、エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンが多種の楽器を担当し、それぞれがリードボーカルを務める楽曲があります。旧音源の使用でクレジットされたケヴィン・ゴドレイとロル・クレームのほか、ポール・マッカートニー（ストリングス、エレクトリックピアノ、サウンドエフェクト、リズムギター）、アンドリュー・ゴールド（リードボーカル、ギター、バッキングボーカル）などがゲスト参加しています。その他、スティーヴ・ピゴット、リック・フェン、ゲイリー・ウォリス、エイドリアン・リー、ピーター・トムス、イアン・トーマス、ゲイリー・バーナクルといったミュージシャンがレコーディングに貢献しています。

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