プリェヴリャ

モンテネグロの歴史都市：プリェヴリャ

プリェヴリャは、モンテネグロの北西端に位置する都市で、その歴史は古代にまで遡ります。多様な文化が交錯し、豊かな自然に囲まれたこの都市は、モンテネグロの経済においても重要な役割を果たしています。

古代から中世へ

プリェヴリャにおける人類の活動は、氷河期にまで遡ります。石器時代には、メデナ・スティエナに大きな集落が築かれました。その後、1世紀にはローマ帝国がこの地を侵略し、イリュリア人の集落跡に新たな都市を建設しました。この都市は「S」と呼ばれ、上ダルマチア属州における貿易と宗教の一大拠点として栄えました。宝石やガラスの花瓶などが発掘されており、当時の繁栄を物語っています。

6世紀にはスラヴ人が南下し、822年にブレズニクという都市を建設しました。ブレズニクは1世紀以上にわたって繁栄し、セルビア王国の主要都市の一つとなりました。ドゥブロヴニク、トリエステ、コトル方面とコンスタンティノープル、サラエヴォ、ベオグラード方面を結ぶ交通の要衝でもありました。14世紀頃には、現在のプリェヴリャという名前が使われるようになりました。セルビア帝国の崩壊後、支配者は二転三転し、1462年にオスマン帝国の支配下に入りました。

オスマン帝国の支配

オスマン帝国時代には、プリェヴリャはタシュルジャと呼ばれました。15世紀から16世紀にかけて、モスクや修道院などの建物が次々と建設され、都市は発展を遂げました。1572年にはヘルツェゴビナ・サンジャクの中心地がフォチャからプリェヴリャに移転し、人口も増加しました。18世紀には下水道が整備され、都市の景観は美しくなりました。しかし、その後二度の大火に見舞われ、1833年にヘルツェゴビナ・サンジャクの中心都市はモスタルへと移転しました。

近代から現代へ

1878年、プリェヴリャはオーストリア＝ハンガリー帝国の統治下に入り、近代的な都市へと変貌を遂げました。ホテル、書店、劇場、広場などが建設され、西洋的な文化が導入されました。1879年には薬局、1880年には病院、1889年にはビール工場、1892年には写真館が誕生しました。1908年にオスマン帝国が再びこの地を支配しましたが、1912年にはセルビア王国とモンテネグロ王国の軍によって占領されました。1913年にモンテネグロ王国領となり、第一次世界大戦後にユーゴスラビア王国に編入されました。第二次世界大戦後は、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国、セルビア・モンテネグロを経て、2006年に独立したモンテネグロに属しています。

経済と観光

プリェヴリャにはローマ時代の遺構、修道院、聖堂、モスク、モンテネグロ最古の学校などが点在しており、観光資源が豊富です。また、プリェヴリャ発電所があり、モンテネグロの電力の45%を発電しています。国内唯一の炭鉱が隣接しており、農業も盛んです。ウィンタースポーツの潜在的な需要もあり、モンテネグロ経済において重要な位置を占めています。

プリェヴリャは、その長い歴史の中で様々な文化の影響を受け、独自の魅力を育んできました。モンテネグロを訪れる際には、ぜひプリェヴリャの歴史と文化に触れてみてください。

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