ミーラン遺跡

ミーラン遺跡は、中国新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州チャルクリク県に位置する古代遺跡群です。この地は、タクラマカン砂漠の南縁、ロブノールとアルチン山脈が交わる地点にあり、シルクロードの重要なオアシス都市として栄えました。

歴史

2000年前、ミーランは山からの豊富な水源を利用した灌漑により、農業が発展しました。西域南道の交易の中心地として繁栄し、仏教が広まると寺院が数多く建立されました。しかし、ミーランの旧称については、歴史文献において混乱が見られます。

オーレル・スタインやギルスレンは、ミーランを古代の「扜泥」であるとみなしました。『漢書』によれば、扜泥は鄯善（楼蘭）の都城であるとされています。一方、酈道元は鄯善の都を伊循とし、それがチャルクリクにあたると主張しました。唐代の旅行記では、唐代の伊循が現在のミーランに相当すると考えられていますが、チャルクリクとミーランの間には約80kmの距離があり、この見解には異論も多く存在します。

考古学的発見

ミーラン遺跡の本格的な調査は、考古学者オーレル・スタインによって1907年に始まりました。発掘調査の結果、ミーランが周辺地域と広範囲にわたる交易活動を行っていたことが明らかになりました。その交易範囲は遠く地中海にまで及んでいたと考えられています。また、仏教の影響は紀元前1世紀にまで遡ることができ、初期の仏教経典や壁画は、中央アジアやインド北部の伝統的な様式と共通点が見られます。特に注目すべきは、古代ローマの影響が見られる絵画や芸術品が発見されたことです。仏教寺院の壁画には、3世紀のローマ風「翼を持つ天使像」が描かれており、東西文化の交流を示す重要な証拠となっています。

出土した文字史料の多くは、初期のチベット文字で木や紙に記されたもので、8世紀から9世紀にかけての行政文書や軍事資料でした。これらの資料は、当時のミーランにおける社会や政治状況を知る上で貴重な情報を提供してくれます。

ミーラン遺跡は、シルクロードにおける東西文化の交流を物語る重要な場所であり、その歴史的、文化的な価値は計り知れません。

関連事項

西域
楼蘭博物館
* ミーラン駅 (格庫線)

もう一度検索