ミ＝ゴ

ミ＝ゴ：クトゥルフ神話の異星人

ミ＝ゴは、H・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話に登場する地球外生命体です。しばしば「ユゴスよりのもの」や「ユゴスからの菌類」とも呼ばれ、暗黒星ユゴスを本拠地としています。ラヴクラフトの小説『闇に囁くもの』で初登場し、その後も多くのクトゥルフ神話作品に影響を与え続けています。

ミ＝ゴの起源と名称

ミ＝ゴという名は、ヒマラヤの雪男、イエティのブータン語「ミゲー」に由来します。ラヴクラフトは、雪男の正体をミ＝ゴであると仮定しました。当初は「忌まわしき雪男」や「ユゴスよりのもの」といった名称で呼ばれていましたが、後にミ＝ゴが固有名詞として定着しました。

いくつかの作品では、ミ＝ゴをユゴス星人と同一視する記述も見られます。しかし、両者の関係性は必ずしも明確ではなく、解釈の余地を残しています。例えば、『エンサイクロペディア・クトゥルフ』では、ミ＝ゴとユゴス星人を同一視する記述があります。

ミ＝ゴの生物学的特徴

ミ＝ゴの身体構造は菌類に近い特徴を持ち、写真に写らなかったり、死体が急速に分解するなど、特殊な性質を持っています。有翼種と無翼種が存在し、有翼種は体長約1.5メートル、薄桃色の甲殻状の体表を持ち、コウモリのような翼で飛行します。無翼種は大型類人猿のような姿をしているものや、甲殻類のような姿をしているものも確認されています。

ミ＝ゴはエーテルをはじく翼によって宇宙空間を飛行し、一種の冬眠状態に入ることで生命活動を維持できます。光を苦手とするため、暗闇を好む習性があります。コミュニケーションはテレパシーや、ブザー音のような鳴き声、体色の変化などで行い、人間の声も発することができます。

ミ＝ゴの活動と地球との関わり

ミ＝ゴは、地球を資源採掘の場として利用しています。人類誕生以前から地球を訪れており、古の種族との戦いに勝利したとされています。南北アメリカ大陸、ヒマラヤ山脈など、世界各地でその活動が確認されています。

彼らは人間と直接的な接触を避け、その存在を隠蔽していますが、歴史上、様々な目撃情報が報告されています。ヒマラヤの雪男や、1927年のバーモント州の大洪水の際に目撃された奇妙な生物なども、ミ＝ゴである可能性が指摘されています。ペナクック族の伝承には、ミ＝ゴが鉱物を採取していたという記述があります。

ミ＝ゴは、必要な資源を採掘する以外には人間に干渉しません。しかし、必要以上に近づいた人間には容赦なく攻撃を加えることもあります。一方で、信頼できる人間を仲間として迎え入れるケースもあるとされています。月にはミ＝ゴのコロニーがあり、人間との協力関係も存在するとされています。

ミ＝ゴの宗教観

ミ＝ゴは、複数の邪神を崇拝していると考えられています。崇拝する邪神は作品によって異なり、ナイアーラトテップ、シュブ＝ニグラス、ヨグ＝ソトースなどが挙げられます。輝くトラペゾヘドロンというナイアーラトテップの神体も、ミ＝ゴがユゴス星から地球に持ち込んだと言われています。

ミ＝ゴの社会と科学技術

ミ＝ゴは高度な科学技術と医学を持っており、外科手術を頻繁に行います。テレパシーを主なコミュニケーション手段とするため、発声器官はあまり発達していませんが、必要に応じて手術で発声能力を向上させることも可能です。

驚くべきことに、ミ＝ゴは生きたまま人間の脳を摘出し、特別な円筒に入れて持ち運ぶことができます。この円筒に専用の装置を接続することで、脳の活動を維持し、視覚や聴覚を人工的に再現することも可能です。この技術は、ミ＝ゴが特に気に入った個体、あるいは特に軽蔑する対象に対して用いられるとされています。

TRPG『デルタグリーン』では、ミ＝ゴは科学者、兵士、労働者の3階級社会を形成していると設定されています。また、リトルグレイはミ＝ゴが創造した対人インターフェースロボットであるという設定もあります。

ミ＝ゴが登場する作品

ミ＝ゴは、『闇に囁くもの』をはじめ、『アーカムそして星の世界へ』、『墳墓に棲みつくもの』、『暗黒星の陥穽』、『エンサイクロペディア・クトゥルフ』など、多くのクトゥルフ神話作品に登場します。

まとめ

ミ＝ゴは、その異質な生態、高度な科学技術、そして謎めいた行動によって、クトゥルフ神話において重要な役割を担う存在です。その正体や目的は未だに謎に包まれていますが、その存在感は、読者に深い恐怖と好奇心を同時に与え続けます。クトゥルフ神話の根幹をなす存在として、今後も様々な解釈や考察がなされていくことでしょう。

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