ムギマキ

ムギマキ（麦播）

ムギマキ（学名：Ficedula mugimaki）は、スズメ目ヒタキ科に属する鳥で、日本においては春と秋の渡りの際に稀に観察されることがあります。本種は比較的小型で、全長は約13cmとされています。特に雄は黒い羽毛で覆われており、目の後方には白い眉斑が鮮明に見られます。喉から腹にかけては鮮やかなオレンジ色をしており、下腹以下は白色です。一方、雌はオリーブ褐色の羽毛が主で、眉斑はあまり目立たず、喉から腹は雄に比べて薄いオレンジ色をしています。

分布および生息地

ムギマキは主にロシアの東部地域、オホーツク海沿岸、サハリン、アムール川流域および中国北東部で繁殖します。冬季には暖かい気候を求めて中国南部や東南アジアへ移動し、越冬します。日本では旅鳥として春と秋に渡る際に時折観察されますが、数は少なく、特に日本海側の一部の島嶼（例えば舳倉島や対馬など）では比較的容易に見ることができます。

生態および行動

繁殖地では主に針葉樹林に生息し、つがいで自身の縄張りを持つことが知られています。高木の枝の上に鉢型の巣を築き、通常4から8個の卵を産みます。日本では海岸近くや山の麓にある松林などで多く観察されますが、意外にも市街地の公園でも見かけることがあります。特にとまり方においては、ヒタキ科特有の跗蹠が隠れるようにとまるのではなく、足を突っ張るようにしてとまる点が特徴的で、これはツグミ科の鳥類に似ています。

食性については、昆虫や他の節足動物を主に捕食し、時には空中で捕らえる姿も観察されています。そのため、活動的な捕食者として知られています。また、求愛や縄張りを主張するために出す鳴き声も印象的で、「ピピピ」と特徴的なさえずりを行います。さらに、地鳴きは「ティッ　ティッ」という音で、初めはゆっくりとしたテンポから始まり、後半に向けて早口になるのが特徴です。

参考資料

本情報は文一総合出版の『日本の鳥 550 山野の鳥』を参考にしています。ムギマキの観察を楽しむためには、日本の野鳥のリストをチェックし、春や秋に渡りを行うタイミングを見計らうことが大切です。

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