ムクイヌビワ

ムクイヌビワ（無垢犬枇杷）について

ムクイヌビワ（学名: Ficus irisana）は、クワ科イチジク属に属する常緑高木です。この植物は、学術的な分類において、1906年に植物学者アドルフ・ダニエル・エドワード・エルマーによって命名されました。しかし、現在では、ホソバムクイヌビワ（Ficus ampelos）のシノニムとして扱われることが多く、植物学的な見解が分かれることがあります。

分布と生育環境

ムクイヌビワは、日本では琉球列島の沖縄島から与那国島、そして大東諸島にかけて分布しています。海外では、台湾、フィリピン、スラウェシ島で見られます。かつては奄美群島にも生育していた可能性が指摘されています。この植物は、主に低地から山地の石灰岩地に生育します。

特徴

ムクイヌビワは、樹高8〜15メートルに達する高木です。樹皮は灰白色で、縦に筋が入っているのが特徴です。葉は互生し、卵形から卵状楕円形で、長さは6〜18cm程度です。葉の縁は滑らかで、3行脈が目立ちます。新枝や葉には硬い毛があり、触るとざらつきます。雌雄異株であり、果実である無花果（イチジク）は球形で、直径1cm程度、黄色から黄褐色をしています。果実は葉腋から生じます。

生育状況と保護

ムクイヌビワは、自生地である御嶽林や石灰岩地の森林開発により、個体数と生育地の減少が懸念されています。そのため、いくつかの地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されています。

鹿児島県: 情報不足
沖縄県: 準絶滅危惧

これらの評価は、ムクイヌビワが絶滅の危機に瀕している可能性を示唆しており、その保護が急務であることを意味します。

参考文献

多和田真淳監修・池原直樹著 『沖縄植物野外活用図鑑 第7巻 シダ植物～まめ科』 新星図書出版、1989年。
環境省自然環境局野生生物課編 『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物植物I』 財団法人自然環境研究センター、2000年。
鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』、2006年。
Berg, C.C.; Corner, E.J.H. (2005). “Ficus subsgenus Sycidium”. Flora Malesiana, Series I 17 (2): 169–299.

外部リンク

西表植物図鑑（樹木編） - ウェイバックマシン - ムクイヌビワの生態写真（2016年3月4日アーカイブ）

これらの情報源は、ムクイヌビワに関する更なる理解を深めるのに役立ちます。

もう一度検索