ムスチスラフ・イジャスラヴィチ (ノヴゴロド公)

ムスチスラフ・イジャスラヴィチは、キエフ大公イジャスラフ1世の子として生まれました。彼の生涯は、11世紀のルーシにおける権力闘争と領土紛争の時代を反映しています。

ノヴゴロド公時代

1054年、父イジャスラフがキエフ大公に即位すると、ムスチスラフはノヴゴロド公の地位を継承しました。しかし、彼の統治は平穏なものではありませんでした。1065年には、ポロツク公フセスラフがノヴゴロド公国領のプスコフを襲撃し、1067年にはチェリョーハ川でムスチスラフ軍はフセスラフ軍に敗北。ノヴゴロドは占領され、街の半分が焼失するという惨状に見舞われました。フセスラフは聖ソフィア大聖堂の鐘やイコンなどの戦利品を奪い、ポロツクへと帰還しました。ムスチスラフは父のもとへ逃れざるを得ませんでした。

フセスラフによるプスコフ・ノヴゴロド攻撃は、ウラジーミル1世によるポロツク公国破壊への報復とする説や、フセスラフが持ち帰った戦利品はポロツクの聖ソフィア大聖堂建設のためとする説があります。

キエフ帰還とポロツク公即位

1068年、父イジャスラフ1世はポロヴェツ族の襲撃によりキエフから逃亡を余儀なくされましたが、1069年にポーランドの支援を得てキエフに帰還。イジャスラフ1世に先立ちキエフへ派遣されたムスチスラフは、暴動の首謀者を虐殺し、父の亡命に関与した者を処刑、あるいは盲目にするなどの苛烈な行為に及んだと記録されています。

同年、イジャスラフ1世の軍勢はフセスラフを破りポロツクを奪還。ムスチスラフはポロツク公の座に就きました。

妻子

ムスチスラフの妻の名は不明であり、少なくとも一人の息子、ロスチスラフ（ベレスチエ公）がいたことがわかっています。

ムスチスラフ・イジャスラヴィチは、動乱の時代に翻弄されながらも、ノヴゴロド公、ポロツク公として一定の勢力を保ち、その名を歴史に刻んだ人物です。

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